お金と“雑な付き合い”をしていませんか?
田口智隆さん
――増税を実感する機会が徐々に増えてきました。お金に対する不安感を募らせている人も多いようです。
田口 これまでの収入から増税分が確実に減るわけですから、家計にとっては厳しい状況ですよね。ですが、日本が置かれている現状を考えると、この先も増税の流れは止められない。収入を増やすか、少ないお金の範囲内でやりくりするか。お金に対する向き合い方をもう一度考え直すタイミングだと思いますね。
――何から着手すればいいのでしょう?
田口 まずは身近なお金の使い方を見直すことでしょうね。これまで“なんとなく”買っていたものが、自分にとって本当に必要なのかを考えてみることです。周りに流されたり、宣伝に煽られて“買わされて”はいないか。突き詰めてみると、自分にとって本当に必要なものというのは、意外と少ないものです。“お金がない”という人に限って、実は家のなかがモノだらけ、ということも往々にしてあります。たとえば私の場合だと、洋服は「点数制」のルールで管理していますね。1枚買ったら1枚は売るか捨てるかして処分する。その分、選ぶ時は慎重になりますし、モノを大切にする気持ちにもつながっていますね。
――自分なりのマネールールを決める、と。
田口 “なんとなく”というお金の使い方をなくすだけでも大きく違ってくると思います。なんとなくお金を使っている人は、なんとなくお金が消えていく。貯まらない人に共通するのは、お金との付き合いが“雑”だということです。逆に、丁寧に向き合っている人は、どんな状況でも前向きに貯めることができる。意識が違えば行動も変わります。スーパーの10円20円の違いには敏感なのに、バーゲン会場となると、いきなり桁が違うものを「安い!」と飛びついてしませんか? お金に対して丁寧さと冷静さをいつも持っていたいですよね。
1万円で楽しめない人は、100万円でも楽しめない
仕事柄、これまでたくさんの人たちのお金の使い方を見てきましたが、はっきりいって、1万円で楽しめない人は100万円でも楽しめません。もちろん価格によって出来ることというのは変わってくるけれど、そのお金の範囲内でいかに楽しめるかどうかは、その人自身の意識の問題です。「足りない…」と嘆くことは簡単ですが、逆に“今の収入でどれくらいハッピーに過ごせるだろうか”と考えてみることも大切だと思うんです。――自分にとって、“心地よい最小限”というものを知っておくことも必要ですね。
田口 そう思いますね。お金に対してネガティブなイメージを持ってしまうと、どうしてもお金とハッピーな関係を築くことは難しいと思うんです。今あるお金がなくなることを恐れるあまり、お金を使えないのでは不幸ですよね。
★第2回目は田口さんの借金ドン底生活&立ち直ったエピソードです!
教えてくれたのは……
田口智隆さん
株式会社ファイナンシャルインディペンデンス代表取締役。1972年、埼玉県生まれ。28歳のときに自己破産寸前まで膨らんだ借金を徹底した節約と資産運用によりわずか数年で完済。その後は「収入の複線化」「コア・サテライト投資」で資産を拡大。34歳の時にお金に不自由しない状態「お金のストレスフリー」を実現。株式会社ファイナンシャルインディペンデンスを設立。現在は、その経験を活かしマネー・カウンセリングで個別に相談に乗る一方、より多くの人にお金の大切さを伝えたいという思いから日本全国でセミナー活動を積極的に行っている。『 11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業』(フォレスト出版)、『お金が貯まらない人の悪い習慣39』(マガジンハウス)、『28歳貯金ゼロから考えるお金のこと』(中経出版)、『「なぜかお金が貯まる人」がやっていること』、『10年後、金持ちになる人 貧乏になる人』(廣済堂出版)など著書多数のお金のカリスマ。
取材・文/西尾英子 パネルデザイン/引間良基