時効廃止の改正案、すでに国会に提出
民主党は時効撤廃法案を、すでに国会に提出している
この改正案では、最も重い死刑になる可能性のある殺人や強盗殺人などは、これまで25年だった時効が撤廃され、時効がなくなります。それ以外にも、これまで時効が15年だった犯罪が30年に、10年だった犯罪が20年に、5年だった犯罪が10年に、それぞれ時効が延長されます。
時効見直しのきっかけになった足利事件
時効が見直し・撤廃されるきっかけとなったのは、時効のために未解決に終わってしまった事件があるためです。その中でも「足利事件」は、時効撤廃の大きな原動力となりました。足利事件は、栃木県足利市で1990年5月13日に、前日から行方不明になっていた4歳の女児が、死体で発見された事件でした。その約半年後に容疑者が逮捕され、女児の下着についていた体液のDNAが容疑者のDNAと一致したため、10年間にも及ぶ裁判の末、2000年に最高裁で無期懲役が確定しました。
しかし、その後マスコミなどが、DNA鑑定にも極めて低い確率で間違いが起こる可能性を指摘し、再鑑定の必要性を述べてきました。そして2009年、ついに再鑑定で「DNAは一致しない」という結果が出ています。
その結果に基づいて、2009年から再審が開始され、2010年3月には無罪判決が出ました。実に、事件から20年後のことです。
しかし、当時の殺人事件の時効は15年であったため、足利事件は2005年に時効となっており、もう真犯人を捕まえても裁くことができません。こういった事件があったために、時効制度を撤廃する動きが高まってきたわけです。