始めから高額の目標を設定しない
積立貯蓄でやってはいけないこととして、「ムリ」「ムダ」「ムラ」の3つのムがあると述べました。このうち「ムリ(無理)」はパート1で説明しましたので、パート2では残り2つのムを解説していきます。その前に「ムリ」に関して述べ忘れたことがありますので、まずはムリの続きを解説させてください。パート1のムリでは、毎月の収支を逸脱した=ムリなプランで積立貯蓄を始めないことと述べましたが、高額すぎる目標貯蓄額を掲げて積立を始めるのも避けなくてはなりません。たとえば、これまで積立貯蓄でお金を貯めたことがない人がいきなり1000万円を目標に積立を始めるというケースです。
千里の道も1歩から、というたとえがあることから、その人が必ずしも1000万円を貯められないわけではありません。しかし、始めから高額の目標額を掲げてしまうと、いつまで経っても達成感を得ることができないのです。長きにわたり積立を継続するには、「自分でも出来るんだ」という自信を持つことが大切なのです。
最終的には1000万円貯める目標であっても、最初は100万円を目標にするのです。100万円を1ヶ月も遅れることなく貯めることが出来れば、初めて預金通帳に7桁の数字が並び自分もやれば出来るじゃないか!という自信になるのです。
同時に、100万円を持つ安心感、場合によっては少しお金持ちになった気分や余裕なども出てくるでしょう。そうなれば、次は300万円、500万円と目標額を上げていき、その目標に向かって頑張ろうと言う前向きな気持ち=モチベーションを保てるというわけです。
ムダ(無駄)なことはしない
近年では、投資信託、外貨建てMMFなどの投資型商品の積立も一般的になりつつありますが、積立貯蓄の対象となる定期預金などは元本が保証されている商品です。このため、投資型商品で行う積立のように悩む必要はほとんどありません。どこの金融機関で始めるのか、どの積立商品で始めるか等々、あれこれ考えている間に時が経過してしまいなかなか積立貯蓄を始めることが出来ません。始めるのが遅くなるほど、目標額に達成する時期も遅くなるのです。積立貯蓄では大きな失敗をすることはないのですから、あれこれ悩む前にとっとと始めた方がよいのです。
また、積立貯蓄を継続するためには、手間ヒマかけずに積立ができるシステムを利用することが大切になります。この世にある大多数の金融商品は、手動でもよければほぼ全てが積立の対象とすることができます。たとえば、毎月決まった日に決まった金額で、ある金融商品に預け入れれば(買い付ける)積立になるのです。
しかし、手動積立では積立をする日の天候が雨だと「金融機関に行くのが面倒」パソコンで手続きが出来ても飲み会などがあれば「家に帰り直ぐ寝てしまった」などなど、長続きできない理由が多くなるのです。結果として継続は力なりの効果が発揮されないのです。
つまり「ムダ(無駄)」な行動をせずに、給与振込み口座がある金融機関で銀行引き落としを使う、勤務先の財形貯蓄を使うなど手間ヒマかけずに積立ができるシステムを活用してとっとと始めるべきなのです。
どちらかと言えば、積立貯蓄はお金を貯めるためのシステムであって、お金を増やすシステムではないからです。
ムラをなくすこと
3つ目の「ムラ」は1つ目の「ムリ」、2つ目の「ムダ」に関係するのですが、お金を貯めるには積立貯蓄を遅れることなく続けるべきです。ムリな金額で積立をしてしまうと、今月は収支が厳しいから積立は1ヶ月お休みしよう、手動積立なので、今日は天気が悪いから天気の良い日に金融機関に行こうなどとなれば、「先月は積立ができたけれど、今月はお休み」となりかねません。来月、再来月は積み立てたけれど、その先はまたお休みなど、極端かもしれませんが、このようなムラのある積立では一向にお金は貯まりません。
銀行引き落としだからムラがある積立にならないと思わないでください。銀行引き落としでも残高不足ということがありえるのです。
残高不足にならないためには、給与振込み日と積立貯蓄の引き落とし日を近づけることです。毎月25日が給与振込み日であれば、遅くとも月末までに引き落とされるようにしましょう。引き落とし日が給与振込み日から離れていると、知らず知らずに使ってしまい、結果として残高不足になりやすいのです。
何度も言いますが、積立貯蓄に近道や裏技、あるいは一発逆転はありません。地道にコツコツ、継続は力なりが王道であることは変わりません。そのためには「ムリ」「ムダ」「ムラ」の3つの「ム」をやってはいけないのです。