断裁機はもはや文房具といっても過言ではない(かも)
少し前までは、断裁機が一般家庭に必要になるなんて事は考えられませんでした。それどころか小規模のオフィスでさえ、あまり必要とされていませんでした。普段の生活や仕事に、大量の紙を一気に切ったり、本や雑誌を解体するといった作業は必要なかったからです。紙を切るなら、カッターナイフやハサミで事足りていました。それが大きく変わったのは、やはりスマートフォン、タブレットの普及が大きいでしょう。あらゆるものをデジタル化する事で、どこででも見られるようになる、という事は、随分前からやっている人はやっていて、しかし、それが一般的にならなかったのは、結局最終的な閲覧をパソコンで行っていたからです。どうせパソコンで見るなら、わざわざデジタル化しなくても、パソコンのそばに本や資料を置いておけばいいじゃない、と思ってしまうと、わざわざ資料をデジタル化する事はありません。どこででも、サッと見られると思うからこそ、デジタル化しないと、という気になるわけです。
デジタル化自体は、例えばPFUの「ScanSnap iX500」などの、高機能なドキュメントスキャナの登場で、かなり楽になりました。特に「ScanSnap」シリーズは、そのハードウェアの機能だけでなく、紙資料をデジタル上で運用するためのソフトウェアが優秀で、導入するとすぐに、その便利さと簡単さが実感出来るため、「紙資料をデジタル化すること」を、当たり前のように普段の仕事や生活の中に取り込む事が出来ます。
その便利さを実感すればするほど、欲しくなるのが断裁機なのです。そして、武骨であまり目に付く所に置くようなものではなく、しかも専門機械だけに高価だった断裁機も、プラスの「PK-513」や、ダーレジャパンの「デューロデックス180DX」といった、実売3万5000円前後で購入出来る製品の登場で、かなり導入しやすくなりました。そしてなんと、立てる事で収納スペースがグッと小さくなった上に、切れ味抜群のダーレ・ジャパン「デューロデックス200DX」の登場で、本気で断裁→スキャンを考える人々にとって、理想的といっても良い環境が整いました。
導入しやすい機能満載の断裁機、プラス「PK-113」
このガイド記事でも紹介しましたが、書籍のデジタル化を考える人にとっての現状での最高のチョイスは、「デューロデックス200DX」+「ScanSnap iX500」です。この組み合わせだと、慣れると本当に、単行本一冊を10分以内でデジタル化出来ます。ただ、いきなりそれだけのスペックは必要ないと思う方も多いでしょうし、価格的にも、もう少し手頃なものが欲しいとか、家庭に置くのにまだ大きいとか、ちょっと見た目が怖いとか、一度に大量の紙を切るのには力が要るのではないかとか、そういった不安要素のある方に向けた、多分現状最高のエントリーモデルが、プラスのコンパクト断裁機「PK-113」です。「PK-113」の最大の特長は、紙を受ける土台の部分が折り畳めることでしょう。そのため、収納の際の設置面積は僅か455×105mm。これなら、机の脇に置いておくことも可能です。重さも5.2kgと、A4の本が切れる断裁機としては画期的な軽さ。実用面で言えば、断裁機にはある程度の重さがあった方が使いやすい部分もあるのですが、この「PK-113」の場合、軽くても使いやすい工夫がされているので、その点も問題ありません(その部分は後述します)。そして、直線を少なくして、刃を露出させず、白とオレンジでまとめたデザインは、刃物感が薄く、武骨さもなく、まるでキッチン用品のような趣き。これなら、まあ机の上に置いても、それほど邪魔にならないと思うのです。ガイド納富の場合、机の脇にある棚に乗せていますが、何だか、文房具の一つのような感じで収まっています。小さいので圧迫感もなく、軽いので、使いたい場所に持っていくのも苦になりません。
折り畳まれた紙を置く部分を出しても、さほど大きくありません。それでもA4サイズの雑誌(横長いタイプも)に対応。そして、刃が露出していないし、刃が降りてくる部分はシャッターでカバーされていて、もちろんハンドル部分には刃がついていないので、間違って指などを切ることは、まずありません。また、本体上部にハンドルロックが付いていて、使用時は、このロックを外してハンドルを引き上げて使用するのですが、ロックを外した時にハンドルが跳ね上がったりしないのも安全で嬉しい設計です。刃や受け木を自分で交換出来るし、替刃2800円、受木(2本入)1000円というのもリーズナブル。
軽い力で切れる安全設計と静音性の高さ
さらに、従来の4分の1の力で切れる機構で、本体が軽量なのにしっかりと安定して切る事が出来ます。まだ、使い始めて1週間程度なので、耐久性は分かりませんが、刃や受け木を気楽に交換出来る訳ですし、安定した使用感なので、すぐに駄目になるというモノではないようです。未使用時には刃がしっかり保護されていて、これは安全面での配慮の一つですが、持ち運んでいる際に、全く刃が露出していないのは、刃自体を守る事にもなっていて、その意味でも安心出来る設計です。実際に使ってみると、本当に、驚くほど軽くハンドルが動いて、しかも紙押さえが刃と一緒に降りてくるため、紙のずれも少なく、キレイに真直ぐ切る事が出来ます。本を押さえる部分も、適度に動かしやすく、切る際に簡単には動かない、良い感じのものです。少し小さいのが心配でしたが、紙押さえの機能が別にあるので、この程度で十分でした。また、動作の軽さと刃の切れ味の合わせ技で、切る時の音がとても静かなのも嬉しいところ。深夜に切っても迷惑にならなりません。
本は分割して切る、丁寧な作業に向いた断裁機
一度に切れるのは、コピー用紙60枚程度、ということになっていますが、実際に試してみたところ、文庫本で70枚(140ページ)、コミックスだと40枚(80ページ)程度なら一度に切る事が出来ました。つまり、コミックスが通常約200ページなので、3回に分けて、文庫本だと400ページ前後としても、やはり3回に分けて切る感じでしょうか。ラノベなどは、コミックス程度の紙の厚みで、ページ数も300ページ以上あるので、場合によっては4回に分けて切る感じです。映画やお芝居のパンフレット、製品カタログなどの薄い冊子は、通常32枚(64ページ)程度ですから、表紙ごと一気に切る事が出来て快適でした。切り口がキレイで、真直ぐ切る事が出来るので、写真の多い劇場パンフレットを切るのに最適だと思います。一方で、通常の書籍に関しては、2つに分けても切れない場合が多いので、多少手間です。といっても、実際の作業の手間は、2つに分けるのも、3つ、4つに分けるのも、かかる時間は2分程度の差ですから、それを面倒と思わなければ簡単です。むしろ、カバーや表紙ごと切る事が出来ない方が、ザックリと本をデジタル化したい用途には向きません。書籍に関しては、スピードよりも丁寧さを優先したい人に向いているかも知れません。あ、本をデジタル化する場合の「PK-113」の良い所として、この断裁機で一度に切れる分は、「ScanSnap iX500」で一度にスキャン出来る枚数とほぼ同じなので、切った本をスキャン用に分割する手間が省ける、という点も挙げておきましょう。
切る際の位置決めに関しては、LEDライトがカットラインを表示してくれますから、それを参考にすれば、さほど難しくはありません。ただ、プラスチックのシャッターが反射して、LEDの光が本のどこを指しているのかが見えにくい場合があります。その場合は、場所を変えるか、部屋の照明の角度を変えるかすれば大丈夫です。それでも分かりにくい場合は、LEDのラインを見ながら、書籍を何度か出し入れすると、光と本の端の関係が見えてきますから、切っても構わない紙などでテストしてみましょう。
ガイド納富の「こだわりチェック」
ガンガン大量の本を切ってデジタル化したいという人には、やはり「デューロデックス 200DX」をお勧めしますが(何といっても400ページ程度の文庫本なら、カバーごと切れるのは楽ちんですから)、薄い冊子を中心に、時々、書籍をじっくりと丁寧にデジタル化したい、というような用途なら「PK-113」は、かなり使えます。何より価格が手頃(実売価格25000円前後)ですから、まずは、これを買って、実際に本を切ってみるのも良いでしょう。それで、もし物足りないと思ったら「200DX」を買って、サブとして「PK-113」を使えばOK。場所も取りませんし、深夜用として、薄い本や紙をちょっと切りたい時にさっと取り出して使えます。カバーは「PK-113」でカットして、本文は「200DX」で切るといった使い分けも良いでしょう(ガイド納富はこれです)。実際、断裁機と言うよりも、大型のカッターのように使えるので、本当に文房具のようです。
<関連リンク>
・プラス「PK-113」の購入はこちらで
・断裁機「PK-113」とドキュメントスキャナ「PK-113」のお得なセットもあります
・プラスの公式サイトの「PK-113」ページ