埒があかなければ直接教頭か校長へ
『オバタリアン教師から息子を守れ』(中公新書ラクレ)
「率直に管理職に話したほうがいい。そうじゃないと学校としても指導ができないんです」
教頭よりも年上のオバタリアン教師というのもごろごろいるでしょう。管理職としては、うすうす気がついていても、いきなり「こうしなさい」という指導はしにくいようです。たしかに具体的にトラブルの認識がないのに、上司が部下の仕事の仕方に口を挟んだら、信頼関係にひびが入るということは、一般企業でも考えられることでしょう。保護者から要望があってこそ、「指導」という形で明確に改善指示を出すことができるようです。
保護者の立場からしてみると、担任を通り越していきなり教頭や校長に連絡をすると、即モンスターペアレント扱いされてしまうのではないかという恐怖感もあるようですが、管理職側からしてみれば、保護者からのクレームが、部下の指導の良いきっかけになることもあるようなのです。
「それでも改善しないときは教育委員会に訴えるのも一つの手段です」と校長経験者の男性は言います。
しかし、彼らも元教師。教師の立場にも一定の理解を示します。「自分の子がすべてというような親御さんが増えていますから、必要に応じて教師が叱っただけでも、『叱り方が悪い!』というクレームになることもあります。そういうクレームの数が増えると、本当に改善指導すべきクレームとそうでないクレームの判断が難しくなり、結局本当に改善指導すべきクレームが埋もれてしまう場合もあります」。
クレームを伝えること自体がいわゆる「悪質なクレーマー」なのではありません。クレームを伝えることで、間接的により多くの人たちに迷惑をかけたり、より大きな何かを失っているのに気づいていないことが「悪質なクレーマー」すなわち「モンスターペアレント」ということになるのだろうと、私は思います。