株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

日銀の政策会合で日本株はどうなる?

アベノミクスにより株価は上昇しているのですが、日本経済自体はあまり良い方向に向かっていません。その中で日本銀行の金融政策決定会合が大きな注目を集めており、株価に大きな影響を与える可能性があります。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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日本の実態経済は株価ほど良くないが……

軟調な日本の経済指標が続く・・・

軟調な日本の経済指標が続く・・・

アベノミクスにより日本の株価は上昇しているのですが、日本経済自体は株価ほどには良い方向に向かっていません。大量の通貨供給で円安になり、輸出が伸びているはずなのに貿易収支は20ヶ月連続の赤字が続いています。直近の2014年2月の赤字額は2月として過去最大です。

これまでの円高対応による現地生産への切り替えや輸出企業の競争力低下などによって円安にもかかわらず輸出が伸びない様子です。その一方で、原発稼働停止による燃料輸入の増加や円安によって輸入が増大して、貿易赤字が拡大しているわけです。

海外との総合的な取引状況を示す経常収支を見ても、3月10日に発表された2014年1月の経常収支は1兆5890億円の赤字で(4ヶ月連続の赤字)、赤字額は前年同月の4.6倍となっています。左上のチャートで経常収支の赤字が急激に膨らんでいますが、この傾向が続けば大きな問題となってきます。さらに、2013年のGDPを見ると伸び悩んでいることが分かります。この上に、4月からは消費税が8%に上がりましたので、内需の失速も懸念されるところです。

期待以上の緩和策が出ないと株価は失速基調に・・・

このような状況にあって、2014年4月8日行われる日本銀行の金融政策決定会合が大きな注目を集めています。あまり良くない経済統計が続いているだけに、追加の緩和策が出てくるのではないかという期待感があり、4月に入って不動産、その他金融、海運といったセクターの株価が上昇しています。2013年の同時期に行われた金融政策決定会合では「異次元緩和」が発表されて、これらのセクターの株価が急騰したことが背景にあります。

ちなみに、黒田日銀総裁は『必要があれば調整を行う』として、『その調整に限界があるということはない』とコメントしています。

もちろん、期待通りに追加緩和策がでれば、目先は日本株全体が上昇基調に入っていけると思います。しかし、現在は先に期待感だけで上がってしまった分、期待以上の緩和策が出ないと株価が失速する原因になってしまう可能性があります。その場合は期待で上がって、事実で前述にあるようなここまでに上昇してきたセクターが売られてしまい、仮に「追加緩和策なし」に終われば株価は失速基調が鮮明になってしまう恐れもあります。

さらに日本株にとって気になるのは、米国株、とくに多くの優良成長株に起こっている『異変』です。以前にこれまで相場を牽引してきたバイオ医薬株に変調があったことはお伝えしましたが、その動きはその他の優良成長株も同様となっています。米国ニューテクノロジー株の代表テスラモーターズ(TSLA)、IT関連、消費からも急成長アパレルのアンダーアーマー(UA)、百度(BIDU)といった中国の成長株など、これまで株価を牽引してきた多くの優良株が値を下げています。またグーグル(GOOG)やアマゾン(AMZN)などの大型株も下がっています。

この動きは機関投資家が一斉に利益確定に動いていることの現れだと思います。これまでに大きく上昇してきた優良成長株であるほどその傾向は顕著であり、NYダウ採用銘柄などの大型株は比較的軽度な下げです。全く同じ現象が2014年3月中旬からの香港証券取引所でも見られ、同じような機関投資家の行動を垣間見る気がします。
失速する米国株市場の成長優良株・・・

失速する米国株市場の成長優良株・・・

いずれにせよ、日本株は転換点に来ている可能性があり、特に2014年4月8日に行われる日銀の金融政策決定会合には注意を要する必要があると思います。

参考:日本株通信

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