香港
毎年5月にアジア最大級のアートフェア「Art Basel in HongKong」が開催される香港。
昨年の取材以来、香港のギャラリーに変化が生まれています。
WHITE CUBE HONGKONG外観
現代アートの作品を扱うギャラリーの多くは個人経営ですが、世界各地で展覧会を開くようなアーティストを抱えるギャラリーは、アメリカに1軒、ヨーロッパに1軒という世界規模で店舗展開をしています。そういうギャラリーがアジアの拠点として選んでいるのが、香港。さらに、倉庫や郊外の雑居ビルには、欧米人のオーナーの名前を冠したギャラリーが増えています。彼らは「Art Basel in HongKong」を訪れる世界各地のコレクター(アート作品を買う人たち)を狙っているのです。こうした動きは、東京など日本では見られません。いかに香港のアート市場が大きいか、期待をされているか、を伺い知ることができるでしょう。
中国・広州
つい最近まで私は展覧会
「伸延的地平線(拡張する地平/The Expanding Horizon)」のため、中国の広州53美術館に約2週間滞在していました。参加アーティストの制作のようすを記録したり、広州にある美術系大学でレクチャーをするためです。
久保寛子 作品制作風景
現代アートのアーティストは、自分のアトリエにこもっているわけではなく、展示する場所に赴いて作品をつくることも多いのです。写真の久保寛子は、美術館のボランティアたちと一緒に、作品の素材である紙を切る作業をしました。自然と中国語と日本語の交流が生まれていました。
この展覧会に参加して改めて気が付いたことがあります。いま日本の現代アートの展覧会の多くは、日本人のアーティストによる展覧会なのです。私たちが中国に行くように、中国など海外のアーティストが日本に来て、滞在・制作し、作品を発表することはとても少ないのです。しかも美術館でのグループ展(複数のアーティストによる展覧会)となると、ほとんどないでしょう。これはアートに限ったことでしょうか?他のジャンルでも、海外との交流が少なくなっているのではないでしょうか?
まとめ
中国の広州美術学院大学で、私が行ったレクチャーのテーマは「日本の現代アートについて」でした。2000年代後半から、たった今の日本のアートの作品、動きについて話をしました。200人以上の学生は熱心に耳を傾けてくれました。日本に興味を持っている、ともいえるでしょう。では私たち日本人の意識はどうでしょうか?近いはずのアジアですが、実は一番遠いエリアなのかもしれません。アートを通じて世界を見たとき、いまの日本に求められること、できることに気が付くのではないのでしょうか。