アート・美術展/アートの楽しみ方入門

実録レポート・いま、アジアのアートが熱い!

よく「いまどこのアートが面白いですか?」と聞かれます。パリ?ニューヨーク?ベルリン?いまアジアのアートが一番アツいのかもしれません。私は2014年になって、シンガポール、香港、中国・広州へ行きました。そこで見たアートシーンのいまをレポートします。

藤田 千彩

執筆者:藤田 千彩

アートガイド

以前、取材に伺ったギャラリーのオーナーの方に「現代アートは経済が動いている町にある」と教えていただいたことがあります。今年2014年に私が訪れたシンガポール、香港、中国・広州のアートシーンについて、多角的にレポートしていきます。


シンガポール

シンガポールは国を挙げて文化、特に現代アートに力を入れています。
シンガポール美術館前に置かれたNGUYEN TRAN NAM(ベトナム)の作品

シンガポール美術館前に置かれたNGUYEN TRAN NAM(ベトナム)の作品

例えば昨年2013年10月から今年2月まで開かれていた「シンガポール・ビエンナーレ2013」。

日本で「ビエンナーレ」「トリエンナーレ」と言えば集客性の強い、アートによるイベントとして認識されています。本来は「ビエンナーレ=2年に1回行われる国際展」「トリエンナーレ=3年に1回行われる国際展」を意味しています。国際展とは、自国以外のアーティストを招へいして作品を展示する展覧会のこと。シンガポールでは2006年から始まり、「シンガポール・ビエンナーレ2013」の開催で4回目を数えました。

 

シンガポール国立博物館での展示風景undefined手前)Ken + Julia Yonetani(日本人+オーストラリア)《Crystal Palace: The Great Exhibition of the Works of Industry of all Nuclear Nations.》、奥)NGUYEN TRINH THI(ベトナム)《Unsubtitled》

シンガポール国立博物館での展示風景 手前)Ken + Julia Yonetani(日本人+オーストラリア)《Crystal Palace: The Great Exhibition of the Works of Industry of all Nuclear Nations.》、奥)NGUYEN TRINH THI(ベトナム)《Unsubtitled》

今回のテーマは「IF THE WORLD CHANGED(もしも世界が変わったら)」。展覧会はキュレーターがアーティストを選んだり、展示内容を企画しますが、この「シンガポール・ビエンナーレ2013」のキュレーターは、なんと27人!東南アジア各地で活躍するキュレーターたちは、いわばローカルで制作を続けるアーティストたちを選出しました。多くの展覧会や国際展では欧米のアーティストの作品を見ることが多いなか、力を見せつけてくれたアジアの現代アート。美術館、博物館だけでなく、町中にある大きな公園、ビル前の広場などに60人(組)以上のアーティストが作品を展示しました。

 


日本ブースに展示された中西信洋作品

日本ブースに展示された中西信洋作品


 
「シンガポール・ビエンナーレ」と同じように力を入れているのが、アートフェア「アート・ステージ・シンガポール」です。アートフェアは現代アート作品を販売する見本市のような場で、「アート・ステージ・シンガポール」は有名ホテルを会場にし、2010年から毎年開催されています。

今年2月に開催された「アート・ステージ・シンガポール2014」では、日本人アーティスト集団でシンガポール・ビエンナーレにも出品していたチーム☆ラボ(TEAM LAB)らの映像作品が55万USドルで売れました。オリンピックのように国別の展示ブースもあり、アートフェアが「見て楽しむ、買って楽しむ場所」であることを再確認できました。

ギルマン・バラックス外観

ギルマン・バラックス外観


 
またシンガポール政府は、2010年からもともと軍隊の施設だった場所をつかって、現代アート関係の施設が集まったエリア「ギルマン・バラックス(Gillman Barracks)」を整備。2014年現在、シンガポールだけでなく、日本やドイツなどから選ばれたギャラリーが軒を連ねています。最先端の現代アートが一目で見ることが出来る場所として、世界各地のアートファンが足を運んでいるのです。

来年の「アート・ステージ・シンガポール」は、このギルマン・バラックスに場所を移し、2015年5月10日から20日に、「No Country: Contemporary Art for South and Southeast Asia」というテーマで開催される予定です。ますますシンガポールのアートシーンから目が離せませんね。
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