アート・美術展/おすすめ展覧会・イベント情報

2014年4月のオススメ展覧会・美術展(2ページ目)

日本全国の2014年4月のオススメ展覧会・美術展を紹介。東京国立博物館(上野)特別展「栄西と建仁寺」、平塚市美術館(神奈川県)「石田徹也展-ノート、夢のしるし-」、森美術館(六本木)「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」、江戸東京博物館(両国)「大江戸と洛中 ~アジアのなかの都市景観~」、千葉県市原市を中心に開催されている「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」を紹介します。

浦島 茂世

執筆者:浦島 茂世

美術館ガイド


冷静に描いた自身の閉塞感
平塚市美術館(神奈川県):石田徹也展-ノート、夢のしるし

《燃料補給のような食事》(1996 年) (静岡県立美術館蔵)

《燃料補給のような食事》(1996 年) (静岡県立美術館蔵)


牛丼チェーン店を思わせる空間のなかで、口の中になにかを流し込まれるスーツ姿の男性たち。オレンジ色のエプロンをまとった店員は一様に無表情で遠くを見つめています。この絵『燃料補給のような食事』は、現在の私たちを取り巻く状況を風刺したように見えますが、実際に描かれたのはもう18年も前、1996年に描かれたもの。描いたのは石田徹也です。

石田徹也は1973年に生まれ、2005年に31歳という若さで不慮の事故で死を遂げた画家。31年という短い人生のなかで描かれた絵画の独特な作風が没後に評価を受け、現在にいたるまで多くの展覧会が開催され、そして遺作集が出版され、多くの人達に衝撃を与え続けています。

この展覧会では彼の代表作約108点とともに、生前に書き留めていた51冊にのぼるノートや、生前の彼の言葉を紹介し、その制作の過程や思考をたどるものです。


《飛べなくなった人》(1996 年) (静岡県立美術館蔵)

《飛べなくなった人》(1996 年) (静岡県立美術館蔵)


彼の作品に登場する人物は一様に無表情で、目はうつろ、自分の意志では動けない「あきらめた」表情をしているように見えます。冷たさを感じさせる周囲のなかでその人物は抗うでもなく、その状況を淡々と受け入れているようにも見えます。その姿にある人は自分自身を重ね、ある人は痛烈な社会風刺と受け取り、ある人は画家のユーモアを感じます。

すでに20年近くも前に描かれた絵なのに、まるでつい最近描かれたような新鮮さも感じる彼の絵を、たっぷりと鑑賞できるとても貴重な機会。人の心を掴み、捉えてはなさない絵なので、時間に余裕をもって(絵を鑑賞してから考える時間がかかる方多数です)じっくりご覧ください!

■DATA 石田徹也展-ノート、夢のしるしについて
展覧会名称:石田徹也展-ノート、夢のしるし
会場:平塚市美術館
会期:2014 年4 月12日(土)~6 月15日(日)
開館時間:9:30 ~ 17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
※5月5日(月)は開館
Web: http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/

次のページでは森美術館(六本木):アンディ・ウォーホル展:永遠の15分を紹介します。


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