そして、涙ガラス制作所の松本裕子さんはガラス作家と一言には括れない、独特の作品を作り出すアーティスト。展示ではいつもハッとするような幻想的な空間が生まれ、繊細で儚い夢のような雰囲気をまとったガラスのアクセサリーには、何か不思議な魔法が込められているとすら感じさせます。
今回の展示は、参加アーティストたちの不思議な出会いによって導かれた企画展。2012年の夏に行われた、麻布のギャラリー・Gallery SU での展示「涙ガラス制作所×鉱物アソビ展 ―結晶―」に画家・前田昌良さんが訪れたことがきっかけとなりました。前田さんを通して、涙ガラス制作所の“たんぽぽの綿毛ネックレス”が小説家の小川洋子さんの手に渡ることに。小川さんは、それを大切に身につけておられたそうです。そして3人とも、小川さんの小説の愛読者でした。そんな小さな奇跡の巡り合わせが、この展示の実現へとつながっていったそうです。小川さんの小説世界を思い描きながら、前田昌良さんと涙ガラス制作所の松本さんは作品を制作し、鉱物アソビのフジイさんは標本をコーディネイトする、という豪華な企画。「それぞれの奏でる旋律が“輪唱”のように少しつずつ重なっていったとき、どんな音色を響かせることでしょう」とGallery SUのオーナー、山内彩子さんは言葉を添えています。小川さんも「ギャラリーでの企画、光栄なことです。私の小説が何かしらお役に立てれば、これほどの喜びはありません。今から胸がときめいております」と大変喜んでおられたそうです。
小川洋子さんの小説を源に、どのような作品が紡ぎ出され、どのような空間が生み出されるのか?美しい輪唱の音色を心に響かせながら、ぜひご覧下さい。
前田昌良×涙ガラス制作所×鉱物アソビ
「輪唱 ―小川洋子へのオマージュ―」
作品イメージ
<東京展>
会期:2014年4月4日(金)-12日(土) 12:00-19:00 月曜休
作家在廊日:初日は全員在廊
会場:Gallery SU
東京都港区麻布台3‐3‐23 和朗フラット4号館6号室
tel.03‐6277‐6714
http://gallery‐su.jp
<京都展>
会期:2014年4月15日(火)-21日(月)
10:00(初日12:00)-22:00(最終日18:00) 会期中無休
作家在廊日:初日は涙ガラス制作所と鉱物アソビが在廊
会場:恵文社一乗寺店・ギャラリーアンフェール
京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
tel.075‐711‐5919
http://www.keibunsha‐books.com
作品イメージ
【作家略歴】
◆前田昌良(まえだ まさよし)
画家。1956年大阪市生まれ。1983年東京藝術大学大学院修了。2002年~07年、雑誌「別冊 文藝春秋」表紙絵を担当。『猫を抱いて象と泳ぐ』(小川洋子・著、文藝春秋)その他多くの書籍 カバーを担当。2011年、作品集『星を運ぶ舟』(前田昌良・著、小川洋子・寄稿、求龍堂)を刊行。
◆涙ガラス制作所・松本裕子(まつもと ゆうこ)
ガラス作家。日本大学芸術学部卒。時計メーカーで時計のデザイン・企画に携わる。退職後に 吹きガラスを始める。主に理化学実験ガラス器具の製作に用いられる酸素バーナー・硼珪酸ガラ ス(耐熱ガラス)を使い、吹きガラスの技法も合わせガラスの品々を制作。
http://namida-glass.petit.cc/
◆鉱物アソビ・フジイキョウコ
旅と暮らしをテーマに編集&執筆活動を行う、エディター&ライター。暮らしのなかで“愛でる” 鉱物世界を提案するラボラトリオ「鉱物アソビ」として活動。著書に『鉱物アソビ』『鉱物見タテ 図鑑』(スペースシャワーネットワーク)がある。
https://twitter.com/KoubutuAsobi