歯科インプラント/歯科インプラントとは

歯科インプラントの寿命と保証制度

これからインプラントをお考えの方も、既にインプラント治療を進めていらっしゃる方も治療において気になる点、疑問点は早めに解決しておきたいものです。どの位インプラントが持つのか、どのように長持ちさせればよいのか、万が一のトラブルの場合はどのようにしたら良いのか。ひとつひとつ解決していきましょう。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

広く一般的に認知されてきた歯科インプラント治療。入れ歯やブリッジと比較して天然歯に最も近い機能性と審美性を回復できると期待されています。歯槽骨の中に入るインプラント体そのものの寿命は半永久的とも言われるくらい長いですが、それを支える周囲の骨や歯肉、または被せ物に関してはどうなのでしょうか。また、口腔内は人ぞれぞれ条件が異なりますし、同じ人であっても加齢とともに状況は変化します。口腔ケアへの意識の違いによっても長期予後は大きく左右されますので、患者様からの「どれくらい持つんですか?」という質問にはスパッとお答えできなくて困る場面もあります。期待して行った歯科インプラント治療の寿命はどれくらいなのか? また、保証制度があるクリニックもあるようですがそれはどのような内容なのでしょうか? 今回はこちらについて説明していきたいと思います。

インプラント治療の成功とは?

何をもってインプラント治療が成功しているかと考えるかがポイントですが、まず第一にインプラントそのものの揺れがないことが重要です。そして、周囲が健康な支持骨と炎症のない歯肉でしっかり支えられており、物を食べるという機能的な役割を果たしていること。最近では、審美的要求も高くなってきているため、歯肉などの周囲組織との調和が図られている事なども成功条件に加わるかもしれません。これらを数値化したものを一般的にサクセスレートと呼び、口腔内に存在するかしないかだけで判断するサバイバルレートとは分けて考えられています。

ブリッジや入れ歯との比較

各種学会や研究会によって違いがありますが、一般的にブリッジの平均寿命は約6~7年、入れ歯は約5年と言われています。そういった状況の中で、歯科インプラントの10年生存率は95%以上といわれていますので、かなり高い成功率であると言えます。更にその数字は品質の向上や治療技術の進歩により更に高くなってきており、限られたケースではありますが保険診療にも歯科インプラント治療が一部適応されたということは、それだけ確立された治療になったと言えるでしょう。

インプラント治療でのトラブル

成功率が上がったといっても100%ではありません。同じ材料・器具器材を使用したとしても術者が違えば結果も違います。症例も口腔ケア意識も違いますから、条件によっては何らかのトラブルが起きてしまいます。

歯槽骨とインプラント

健全な歯槽骨で支持されているインプラント

その中で割と初期に起こるトラブルが、インプラントが定着せず抜け落ちてしまうトラブルです。手術時の感染や歯槽骨への配慮の無さからくるものが主な原因と考えられます。次は、上部構造(クラウンの部分)やアバットメント(土台とクラウンをつなぐ支柱)のトラブルです。多くは、良く咬めるようになったことでクラウンが過度に磨耗し、薄くなった部分で割れたり欠けたりするトラブル。また、クラウンやアバットメントを固定する為のネジがゆるんだり折れたりするトラブルもあります。

いずれのケースも骨結合を失い再手術が必要となるような大問題ではありません。上部構造系のトラブルは逆に「過剰なストレスから守ってくれた」という考え方もあります。天然歯と違いインプラントには歯根膜という緩衝材がありませんので、咬合力がダイレクトに歯槽骨に伝達されます。その骨結合に悪影響が出る前に、適正以上の力がかかった時に守ってくれているのです。それらのリペアや再製はそんなに大がかりなものではありません。

歯科インプラントの保証制度

本来、医療行為に対して保証制度は不適切かもしれません。医科において、「再発したので数年前の医療費を返金してくれ・・・」なんて話は聞いたことがありません。ただし、歯科インプラント治療は自費(自由)診療になります。自由診療は術者と患者が互いに同じ目的を目指して、健康保険制度で定められた水準以上の結果を目指す医療行為です。健康保険が適用されない分自己負担も高額になりますので、常識的な範囲で保証制度を設けているクリニックが増えています。たまたま歯科治療の場合、形に見えるものが多いのでそういう慣習ができたのかもしれません。自院独自のレギュレーションで保証制度を決めているところもあれば、第3者機関のお墨付きをもらって保証制度を採用しているクリニックもあります。引越しなどで転院しなければならないケースも考えられますので、インプラントメーカーそのものが保証制度を採用しているケースもあります。

制度内容はクリニックによって様々ですが、大まかにまとめると下記のようになるようです。
  • 上部構造とインプラント体それぞれに保証がある
  • 上部構造とインプラント体の保証期間が同じクリニックもあれば違うクリニックもある
  • 経過年数によって償却減算方式をとっているクリニックもある
  • 保証規約に定期検診を義務付けている
  • 保証費が治療費に含まれているクリニックと含まれていないクリニックがある
  • 保証書の発行をしているクリニックとしてないクリニックがある

信頼のおける医院選び

健全な天然歯に勝るものはないですが、快適な口腔環境を維持するうえでなくてはならないものになった歯科インプラント。自分の身体の一部として長期間機能させるには、長く付き合うことのできる信頼のおけるホームデンティストに出会えなければなりません。

医院選びの優先順位は人それぞれだと思いますが、安心や安全に勝るものはありません。
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