メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

M・ベンツ新型Cクラス「圧巻の走りと質感」とは?(3ページ目)

モデルチェンジに世界中の自動車メディアが熱い視線を注ぐ、メルセデス・ベンツの基幹モデルの新型Cクラス。待ち遠しかった試乗の機会、一足先に南フランスでその実力を試して来ました。再びクラスリーダーとなった走りと質感は、はたして?

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

運転をし始めてすぐに「これはいいぞ、いいぞ」

メルセデス・ベンツCクラス

長いボンネットと大きく後退させたキャビン、短いオーバーハングでクラシックなメルセデス・ベンツセダンのプロポーションを採用。大きなホイールでスポーティさを強調した

動き出した瞬間に、軽さとしっかり感が同居した、正にアルミとスチールのいいとこ取りというべきハイブリッドな感覚に包まれた。運転をし始めてすぐに、「これはいいぞ、いいぞ」、という気持ちになるのは、現行ゴルフにはじめて試乗して以来の経験だ。

乗り心地は、エアマチックサスのモードをコンフォートにしても、微低速域で少し突き上げを感じてしまう。速度を上げていけばいくほどに、さほど気にならなくなってゆくけれども、このあたりはランフラットタイヤが主な要因だろうか。事実、250ブルーテックの18インチに試乗した際には、そんな印象をまるで持たなかった。

街中をクルージングしながら、ふと思ったのは、メルセデスにしては操作系が複雑になり過ぎたんじゃないか、ということ。タッチパッドが加わったことで、コマンドダイヤルやスイッチなど、場合によっては3、4種類のアクセス方法が存在することになる。自分にあった方法を見つければいい、というが、逆に使わない方法は無駄な装備であると思ってしまう可能性だってあるだろう。

メルセデス・ベンツCクラス

スイッチ類は高級立体デザインを採用。円形エアアウトレットでスポーツ感を演出する

なかでも議論があったのは、ハザードスイッチが脇に小さくおいやられてしまったこと。いざというとき本当は頼りになるはずの“オカン”なのに、見てくれが悪いのではじっこに座って小さくなっといて、と、キレ者でファッションセンス抜群の息子が無理強いしたみたいで、ちょっと嫌だ。急ブレーキを踏んだら勝手にハザートが点くから、と弁明されても、オカンの手料理を電子レンジで再現しました、と言われているようで、何だか味気ない。

どんなに格好悪くても、おにぎり型の赤いスイッチだけは、ダッシュボードの分かりやすい位置、それも真っ正面に、どどーんと構えていて欲しかった。いつもエプロン姿でがんばる田舎の肝っ玉母さんみたく……。

閑話休題。
メルセデス・ベンツCクラス

アルミニウムハイブリッドボディは通常のスチールボディより約70kg軽量に。総重量も約100kg軽くなった。アルミニウムの使用率は量産車としては異例の50%近くに拡大している

2リッターのガソリンターボながら、その加速は強力のひとことだ。わずか1200回転あたりから最大トルク350Nmを発揮するというだけあって、80km/hなどあっという間に達してしまう。同じく250を名乗るディーゼルターボのブルーテックと比べても、0→100km/h加速タイムでは互角だ。もっとも、常用速度域でのトルクピックアップの鋭さではブルーテックには及ばないが……。

静粛性も非常に高い。決して無音というわけではないが、気になる音がほとんど聞こえてこない。非常に快適な空間を保持し続けてくれる(ただし、ディーゼルはやはり初動時にガサガサする)。

圧巻だったのは、ハンドリング性能だ。エアサスをスポーツ+にして臨めば、手応えもぐっと増し、操縦フィールも一段とアグレッシブになって、動きに鋭さが加わり、非常に快活だ。何が嬉しいって、前輪の粘りや応答が両のウデで抱えるがごとき感覚となって乗り手の上半身と融合してくれる点。これは今までのDセグメントになかったフィーリングであり、正にクラストップの走り味だ。エアマチックの恩恵であろう。

高速道路での巡航性能には元々定評のあるCクラスだが、個人的には、少し動きたがる傾向があったように思う。セッティングの難しい4リンクフロント+エアマチックのサスペンションの影響だろうか、それとも、電動パワーステアリングのわずかに雑なフィーリングのせいでそう感じてしまうのだろうか。メカサス仕様でそれを確認したかったところだが、叶わなかった。
メルセデス・ベンツCクラス

クラス初のエアサスペンションをオプションで採用、ダンパー特性をコンフォート/エコ/スポーツ/スポーツプラスに切り替えられる。標準のコイルスプリングにはダイレクトコントロールサスペンションがオプションで装備可能に

いずれにせよ、このあたりはランニングチェンジで良くなっていくだろう。日本仕様の上陸を待って判断したい。

結論。新型ゆえ細々と注文を付けたくなるが、それでもなお現時点では、Cクラスが再び、クラスリーダーの存在に躍り出たということだけは、間違いないと思う。
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