あなたが高いのは中性脂肪? コレステロール?

コレステロールの動き

コレステロールはLDLコレステロールとして身体の隅々に運ばれます。全身の細胞でいらなくなったコレステロールはHDLコレステロールとして肝臓に戻り、分解されて排泄されます。そのためLDLコレステロールが悪玉・HDLコレステロールが善玉と呼ばれるのです。コレステロールはこのバランスが大切です。

脂質異常症は血液中にコレステロールや、中性脂肪(トリグリセライド)が異常に増加した状態です。以前は「高脂血症」と呼ばれていました。ところが、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、数値が低いほうが問題となるため、一概に血液中の脂質含量が高いことがダメだとは言い切れません。そのため、高脂血症という呼び方を「脂質異常症」と改めたのです。

それでも、脂質異常といわれると、一般的には、脂質異常は体内の脂質の量が多いのだから、脂質の摂取量を控えればよいと端的に考えられがちです。しかし、脂質にはたくさんの種類があり、それぞれの役割を果たしています。一口に脂質異常症といっても、異常値を示している脂質の役割と性質を知り、その脂質に合ったコントロールを行う必要があるのです。

それぞれの脂質の役割は?

まず、それぞれの脂質の役割を再確認してみましょう。

中性脂肪は人間の活動に使われなかったエネルギー源を体内に蓄積しておく役割をしています。太古の昔、飢餓時代は体内にエネルギーを蓄積しておくことは生きるために重要でしたが、1日3食の食事を食べることが一般的となった現代の日本では、過剰なエネルギーをストックしておく必要はありません。そのため、中性脂肪は悪者といわれがちですが、現代人でも、体内のエネルギー源のストックがゼロでは困るのです。

コレステロールはLDLコレステロールの形で末梢の動脈に供給されます。末梢動脈ではコレステロールを利用した後、HDLコレステロールの形で肝臓に戻され、不要なコレステロールは胆汁酸に変えられ、さらに胆汁となって体外に排泄されます。ところが、HDLコレステロールが少ないと不要になったコレステロールを末梢動脈から運び出すことができないので、末梢動脈にコレステロールがたまってしまい、動脈硬化の原因となってしまうのです。

これがHDLコレステロールは善玉コレステロール、LDLコレステロール(を含むHDLコレステロール以外のコレステロール)を悪玉コレステロールと呼ぶ理由です。

このように、一口に「脂質」といっても、体内ではさまざまな役割分担があるため、善玉と悪玉のバランスが大切です。脂質異常症の場合、どの脂質がバランスを崩している原因であるのかによって、対処方法も変わります。健康診断の項目が「総コレステロール」から「LDLコレステロール」に変わったのもこのためです。

動脈硬化性疾患診療ガイドライン

日本動脈硬化学会では動脈硬化予防ガイドラインを策定しています。
脂質異常症の食事は、

  1. 肉の脂身、乳製品、卵黄の食べすぎに注意し、魚類、大豆製品を多く食べる
  2.  野菜、果物、未精製の穀類、海草を多く食べる
  3. 食塩をとりすぎない
ことが大切であると記載されています。

さらに、LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールのそれぞれのコントロールの方法について記されています。

1. LDLコレステロールが高い
  • 飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸などを食べ過ぎない(脂肪含量の多い肉類、乳製品、卵類は食べ過ぎない)
  • 食物繊維、植物ステロールを多く食べる(野菜をたくさん食べる)
2. 中性脂肪が高い
  • 炭水化物をやや控えめにする
  • アルコールは控える
  • 脂肪の多い食品を控え、中鎖脂肪酸やn-3系多価不飽和脂肪酸を多くする (中鎖脂肪酸は乳製品やココナッツに多く、n-3系多価不飽和脂肪酸は背中の青い魚(青魚、青背魚といわれます)であるアジ、サバ、イワシ、サンマ、カツオなどに多く含まれています)
3. HDLコレステロールが低い
  • ほんの少し(コップ1杯程度)のアルコールを飲む
  • n-6系多価不飽和脂肪酸やトランス不飽和脂肪酸を食べ過ぎない(n-6系多価不飽和脂肪酸はゴマやナッツ、ごま油などに多く、トランス不飽和脂肪酸は牛乳など天然の食品にも少量は含まれていますが、ほとんどは工業的に作られた油に含まれています)
  • 禁煙する
  • 適度な運動をする(1時間程度のウォーキングが理想ですが、難しければ、通勤時に階段を使うだけでも効果があります)
このように一口に脂質異常症といっても、脂質によってコントロール方法が異なります。脂質のすべてを悪者とせず、上手に付き合っていきたいものです。
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