メルセデス勢好調!マクラーレン、ウィリアムズ復権か?
ヘレス、バーレーンで行われた合計3回のウインターテスト。初回のヘレスに関してはパワーユニットを搭載した新F1の処女航海となったため、トラブルで走れないマシンが多かったが2月3月に行われたバーレーンテストの結果では、その開幕前の勢力図が徐々に明らかになってきた。
好調のメルセデスAMG 【写真:Daimler】
ベストタイムを見ても、周回数を見ても明らかに好調なのは「メルセデス」のパワーユニットを搭載する「メルセデスAMG」「マクラーレン」「ウィリアムズ」「フォースインディア」の4チーム。今年はワークスチームである「メルセデスAMG」のハミルトン、ロズベルグの僚友同士の一騎打ちとなる可能性が高い。かつての16戦15勝したマクラーレン・ホンダのセナ、プロスト対決(88年)のようなシーズンになってしまうのか。いやいや前半戦は予測不能の戦況となるため、「マクラーレン」や「ウィリアムズ」はかなり攻めの姿勢を見せてくるだろう。もちろん「フォースインディア」にとっても大いにチャンスはある。この4チームは同じパワーユニットを使用するが、「マクラーレン」に関しては来年から新規参入の「ホンダ」を積む事が決まっているため、メルセデスからのバックアップがしっかりと得られるであろう前半戦が大勝負の舞台になりそう。
「マルティーニ」がスポンサーに付いたウィリアムズも楽しみな存在 【写真:Williams F1】
対抗馬はフェラーリ。ルノー勢レッドブルは戦意喪失?
メルセデス勢に何とか対抗できそうなのは「フェラーリ」のパワーユニットを積む「フェラーリ」「ザウバー」「マルーシャ」の3チーム。ただワークスチーム「フェラーリ」を除いてはチーム力が劣るので、与えられた環境の中でどこまで躍進できるか。
キミ・ライコネン 【写真:Ferrari】
今年、フェラーリはアロンソとライコネンという2人のワールドチャンピオンを抱えるダブルエース体制となった。キャラクターも水と油という感じの2人だが、テストでメルセデス勢に遅れをとっている現状では協調して開発を行う体制は必須になる。他のドライバーには無い研ぎすまされた感覚で王座を手にしてきた2人だけに、今年のフェラーリは追いかける立場としてはきっと面白い存在になるだろう。
一方、テストで最も苦しんだのはルノー勢。ワークスチームと言える「レッドブル」は空力面で攻め込んだマシン、RB10に冷却系の問題が多発。ほとんど走る事ができない日もあり、バーレーン最終テストでの総走行距離は11チーム中8位=メルセデスAMGの半分以下という散々な状況だった。一発の速さでも他を圧倒するレッドブルらしさは影を潜め、チャンピオン防衛には開幕前から黄色信号だ。
ケータハムに乗る小林可夢偉 【写真:Catherham F1】
ルノー勢で最もマイレージを稼いだのは小林可夢偉も乗る「ケータハム」。ただベストタイムはエリクソンと共にトップから5秒落ちという所で、決して喜んでもいられない状況。まずは開幕戦からしっかり完走していくことで、データを取り、上昇のキッカケを掴んでいきたい所だろう。また、悲惨な状況にあるのは「ロータス」。最終テストではタイムも周回数も最下位。マルドナドの加入で何とかチーム存続の危機からは脱したものの、資金難は相変わらずで、チーム代表だったエリック・ブーリエも離脱(マクラーレンに移籍)するなど、マイナス面ばかりが目立っている。
悲喜こもごも。開幕前を前にして、その勢力図に異変が起きたF1 の新時代元年。チームやメーカーのやるべき仕事量の多さも、ドライバーの抱えるストレスも例年以上のものになるかもしれない。いよいよ、新時代の蓋が開く!