イベントに合わせた投資は難しい

消費税増税前に金を買えば儲かる?

消費税増税前に金を買えば儲かる?

株式や債券などの伝統的な資産が大幅な調整を余儀なくされるなどの有事に備え、代替資産である金をポートフォリオに加えることは自然の流れと言えるでしょう。先進諸国が前例のない金融緩和を行っていることから、各国の通貨の信認は低下。基軸通貨である米ドルでさえ、通貨不安がささやかれることもあるからです。

金は保有しているだけでは、利息や配当金などのインカムゲインを得ることができないことから、資産運用においては脇役にすぎません。せいぜい資産全体の10%程度をポートフォリオに組み入れ、また、購入は平時に時間分散を活用しながらコツコツ購入していくのが基本とされてきました。

2014年2月下旬からウクライナ問題で有事の金買いが起こりましたが、有事の際の価格の上昇は長続きしないと言われています。有事が起こる前に購入して、有事が起こった際には売却するのがトレーダーなどの投資行動とも言われているくらいなのです。

有事は事前に察知することはできませんが、G8やサミット、あるいはFOMC、ECBなどの金融政策会合などは事前に日程が公表されていることから、事前に投資行動を起こすことができますが、だれもが知っている出来事(イベント)では投資商品の価格を大きく動かすサプライズはほとんど出てきません。

言い換えれば、イベントに合わせて売却益を狙うのは難しいのですが、金価格が全く動かなくても絶対(100%)に一定幅の価格変動が起こるイベントとして、金の場合は消費税の引き上げがあるのです。

金は購入時、売却時に消費税が発生

金投資を行うには金貨や金地金を買う、ETFや金鉱株ファンドに投資する、先物取引などを利用するなどがありますが、金の現物を保有したいということで、金地金が、あるいは小口資金で地金を購入していく純金積立がポピュラーなようです。

先の消費税引き上げに際して、売却益を狙うには金貨または金地金に投資することになります。私たちが金貨や金地金を購入する際には、消費税を加えた価格で購入します。反対に金貨や金地金を売却する際には、消費税を加えた価格で業者が買い取ってくれるのです。このため2014年3月末までの消費税が5%の間に金貨や金地金を購入し、同年4月以降の消費税が8%に引き上げられた後に売却すれば、仮に金価格が上昇しなくても消費税3%の引き上げ分が確実に儲かるというわけです。

消費税が引き上げられるのは確実ですから、金価格が下落しない限りは3%の売却益も確実に得られるというわけですが、本当に上手く行くのでしょうか。結論から言えば「金価格が全く動かなくても売却益を得られるのは500グラム以上の金地金」に限られるのです。

田中貴金属や三菱マテリアルなどの金地金を取り扱う地金商の金価格を見ると、金1グラムあたりの価格のほか、サイズ(グラム数)に応じた金地金、サイズごとの金貨の価格のいずれにも、小売価格と買取価格が表示されているはずです。為替レートなどと同じく2プライスが表示されており、小売価格と買取(売却)価格の差が地金商の収益になるわけです。さらに、500グラム未満の金地金の購入では、購入時、売却(買取)時には手数料が徴収されるのが一般的です。この手数料が曲者なのです。

手数料に注意

表は2014年3月7日の三菱マテリアルの金価格です。表を見ておわかりの通り、金価格が全く動かなく、消費税が5%から8%に引き上げられて得になるのは金地金の500グラム、1キログラムに過ぎないのです。

金取引の手数料

金取引の手数料


表にも記載したように、500グラム未満の金地金の購入、買取りには手数料がかかってしまうことと、金貨の場合には、金地金を金貨に鋳造するコストが含まれているため、金地金よりも割高になってしまうのです。もちろん、買取時には鋳造コストを乗せた価格で買い取ってはくれますが、金貨、金地金問わず小売価格(購入)と買取価格の間にはかなり開きがあるのはこの手数料があるからです。

この手数料により金貨や500グラム未満の金地金の場合、消費税が3%引き上げられたとしても、金価格が全く動かなければ残念ながらイベント(出来事)投資は実を結ばないことになるのです。万人向けではないと言えそうです。やはり、消費税の引き上げなどのイベントにからめて投資するよりも、資産の保全という側面で金投資は行うべきでしょう。



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。