現代美術の巨匠が手がける大きな像
大阪にある阪急京都線の南茨木駅前にあるのは……
何のキャラクター? いえいえ、これは現代美術家のヤノベケンジさんが手がけた「サン・チャイルド」という像です。
大阪府茨木市育ちのヤノベさんは、関西を拠点に日本各地で展示を行うアーティストです。昨年のヤノベさんは「瀬戸内国際芸術祭2013」ではビートたけしさんとコラボレーションした作品を発表したり、この「サン・チャイルド」は「あいちトリエンナーレ2013」のポスターにもつかわれていたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
この像「サン・チャイルド」は、一昨年2012年の3月11日に建てられました。そう、東日本大震災から1年を迎えた日に、震災と原発事故からの復興を願った像なのです。黄色い防護服を身に着けた「サン・チャイルド」は、すくっと立っています。かわいい表情ながら、頬のばんそうこうが愛らしい。高さは6.2メートルもあり、ほとんどの部分をFRPという素材でつくられています。どうやってつくったのでしょうね。見開いた大きな目の先に未来を見ている、とのこと。いったい何を見ているのでしょうか。いろいろ想像すると面白いですね。
パブリック・アート
この「サン・チャイルド」のように、駅や役所、図書館や病院といった「公共施設」に置かれたアート作品のことを、美術用語で「パブリック・アート」と呼びます。「パブリック・アート」は、例えば権威や平和を象徴する像であったり、アート作品が置いてある周りの景色を意識させるような立体作品であったり、大きな壁に描かれた壁画だったり、と作品によって形態や目的が異なっています。
特に日本では、80年代後半から90年代のバブル経済期に「パブリック・アート」が多くつくられました。この時代は美術館や音楽ホールといった文化施設が多く建設されたと同時に、施設の入口付近や隣にある公園といった場所に「パブリック・アート」が設置されたからです。
バブル経済崩壊後も「パブリック・アート」はつくられています。公共施設やマンションを新改築する際、周りに樹木を植えるように、アート作品を置くことを心地良く感じる人が増えている証拠でしょう。おそらく皆さんの近くでも、こうした「パブリック・アート」を見ることが出来るのではないでしょうか。