/犬のしつけ・トレーニング

愛犬と楽しくクリッカートレーニング!-7

エモーショナルシグナルを学んだところで、今回からは、実際に犬との生活にとって有効な“行動”のいくつかを、実際にクリッカーを使用して教えてみましょう。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

前回は、エモーショナルシグナルについて学んでみましたが、いかがでしたでしょうか? 今回からは、犬との生活において、これだけは覚えさせておくと後々の互いの生活にとって有効と思える“行動・動作”について、実際にクリッカーの手法を用いて教えてみることにしましょう。

=Index=
・ターゲットスティック
・“ダウン(フセ)を教える”:レベル2
・“ダウン(フセ)を教える”:レベル3
・“ダウン(フセ)を教える”:レベル4

ターゲットスティック

ドッグウィスパラー山田りこさん
「ダウンは、感情面で落ち着く姿勢でもあり、また危険性からの回避にも役立ちますので、是非覚えさせてあげたいですね」(山田さん)
ここで、ハンドターゲットについてのお話を思い出してください。ハンドターゲットでは、目標となるものを“人の手”としましたが、手の代わりに棒の先端や、フード容器の蓋、マット…など、アイデア次第で“物”をターゲットにすることもできるのです。

ターゲットスティックの種類

ターゲットスティックとして使えるものはいろいろ
ターゲットスティックとして使えるものは、アイデア次第でいろいろ。気をつけることは、先端が尖っていないこと。
写真では、左から、筆、ペン、そして乗馬用の調鞭を例として挙げていますが、この他にも先端が尖ってさえいなければ、いろいろなものを代用することができます。手だけですと、犬を動かす範囲が自ずと限られてしまいますが、長い棒のようなものをターゲットにすることによって(=ターゲットスティック)、その範囲も広がり、いろいろと応用もききますので、是非試してみて頂きたいと思います。

さて、今回は、ターゲットスティックを使って、“ダウン(フセ)”を例に教えてみましょう。実は、この“ダウン”も、段階を追って教えることで、確実に覚えさせていくことが可能になります。“ダウン”は、犬が感情的にも落ち着いていられる動作の一つですので、いろいろなシチュエーションで必要にもなってくるもの。この“ダウン”をマスターした後には、“ウェイト”や“マイン&テイク・イット”などの教え方を予定しています。

“ダウン(フセ)”を教える:レベル1/目標とスキル

ターゲットの先端を追い続けるマーロン君
スティックを使うと、ある程度、犬の遠隔操作もできるようになる。
〔レベル1における目標〕
ターゲットに鼻先がつく。
〔犬に必要なスキル〕
ターゲティング/キューに応える
〔人に必要なスキル〕
シェイピング/キューをつける

ダウン(フセ)”を教える:レベル1/教え方

ターゲットの先端を追ってダウンのポジションに
ターゲットの先端を鼻先で追わせて、ダウンのポジションに導く。
1:犬がおすわりをしているポジションから始める。

2:ターゲットを使って、犬の頭が少し下に下がるように誘導。頭が下がったら、その瞬間にクリッカーを鳴らし、ご褒美のトリーツを。

3:ターゲットの位置を少しずつ下げていく。犬が鼻先をターゲットにタッチしたら、クリッカー&トリーツ。ターゲットは、最終的に床に着くまで下げていく。

4:次に、ターゲットの位置を、犬の体から3~5cm前にずらして床に着けるようにする。この際、犬が立ってしまった場合には、ターゲットをはずす。

5:うまくいかなかった時には、ダウンのポジションをよりとりやすくするために、犬の前足の間にターゲットポイントを置く、椅子の下を使ってトレーニングする、自分の膝の間に犬が来るように仕向ける、などの方法を用いてもOK。

〔クリッカーを慣らすタイミング〕
・ターゲットにタッチした時。
・頭がターゲットに向かって下がった時。
・お腹が床に着いた時。

次のページでは、“ダウン(フセ)を教える”のレベル2に移ります。
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