私達の思いをただ押しつけるだけではしつけもうまくいきません。感情が豊かである犬達は、出すサインも豊富。これらを知っていれば、より彼らを理解できるというものです。
=Index=
・エモーショナルシグナルとは?
・ボディ(パーツ)シグナルとディスプレイスメントシグナル
・アボイダンスビヘイビアーと全体の様子から見るエモーショナルシグナル
“エモーショナルシグナル”とは
「エモーショナルシグナルを理解して、日々の生活に応用してくださいね」(山田りこさん) |
しつけはもちろん、日々の生活でこうしたシグナルをうまく読み取って対処してあげることで、より愛犬との関係もうまくいくようになるはずです。クリッカートレーニングも、その理論と手法だけを理解しても何にもなりません。基本は、犬達(その心の状態)を理解して、トレーニングをすればこそ。
「人間の場合、徹夜をして詰め込み状態の勉強をしても、実は、本来持っている学習能力は発揮できないと言われています。というのは、集中力を発揮するにも、心身共にリラックスできている状態であることが望ましいのです。犬にしてみても、トレーニング時、特に新しいことを学ぶ時には、少しでもストレスのない、リラックスできている状態であることが望まれますね」(山田さん)
犬の心理・行動を理解できてこそ、互いの関係もアップ
ということは、犬が何かしら嫌がったり、緊張が過度にある時などにいくらトレーニングをしてもそれほどの効果は望めないでしょうし、ましてや犬にしてみれば、ただ余計ストレスを加えられているということになってしまいます。「犬との暮らしを考えた時、パートナーの人間として自分がどれほど愛犬に大好きになってもらえるか、というのはとても大切な要素だと思います。そのためには、健康管理はもちろんですが、犬の行動や心理を理解すること、犬達が持つ繊細さを敏感に感じ取ってあげることが大事なのではないでしょうか。リラックスし、かつパートナーから理解され、愛されているコであれば、トレーニングに関しても進歩が早いはずです」(山田さん)
続けてこうおっしゃいます。
「また、人が犬をコントロールするような高圧的で服従させるといったトレーニングや日常生活の態度は、動物にストレス、不安を与え、犬に対して問題行動を起こさせる原因にもなります。そして、その問題行動に対しての不適切な対応が、犬をますます緊張させ、不安にし、病気にさせてしまうこともあるのです。だからこそ、彼らの行動や心理を理解して接してあげることが大切になるのです」(山田さん)
では、次のページから、犬のエモーショナルシグナルの代表的なものをご紹介しましょう。同じような仕草が見られるからといって、100%それにあてはまるというわけでは決してありませんが、こうしたものを知っておくことで、犬との生活の参考になるはずです。