株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

どうなる日本経済、アベノミクスの今後は!?

大規模な量的緩和で最高値更新を続ける米国株ですが、小売最大手企業のウォルマートは不振。中間層の伸びない給与や税、社会保障負担増が原因見られ、これはアベノミクスの結果を示唆しているかもしれません。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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ウォルマートの決算に見る米国消費の憂鬱

米国量的緩和の行く末はアベノミクスの行く末を示すのか!?

米国量的緩和の行く末はアベノミクスの行く末を示すのか!?

米国では決算発表シーズンの最中ですが、世界最大小売店である米ウォルマート(WMT)が2013年11-1月期の四半期決算を発表しました(同社決算期は1月)。11-1月期は米国最大の消費シーズンである感謝祭~クリスマスまでの期間を含む非常に重要なシーズンです。同社の当四半期の売上高は日本円でなんと13兆円を超え、年間通期だと48兆5千億円にも達しました。実に一社で日本のGDP規模の1割近くも売り上げる巨大小売企業であることから、米国経済の7割を左右する消費の動向を測る上で、同社業績は重要なマクロ指標ともなりえます。

ところが、1年間の同社株価チャートはご覧のように冴えないものとなっています。その原因となっているのが伸びを欠く業績成長の推移であり、11-1月期の売上高は前年同期比で僅か+1.4%に留まっています。そして既存店売上に関しては4四半期連続減少しています。重要なのは、金額(顧客単価)ベースではなく、客の入り数自体が減っている模様であることです。調整後一株利益は▼4.2%の減益となり、金融危機直後の2009年2-4月期以来の減益を記録しました。当時の売上高も、マイナス成長はあったのですが、その後の回復期には数%~高い時には8%ほども伸びたものでした。

米国株は最高値更新が続く好調ぶりなのに、世界最大の小売企業ウォルマートの株価、業績は不調

米国株は最高値更新が続く好調ぶりなのに、世界最大の
小売企業ウォルマートの株価、業績は不調

株価は騰がるのに、伸びない給与と税、社会保障負担増……
アベノミクスの将来を示唆するか?

そして、同社は2015年1月期についても殆ど成長できない見通しを示しています。その要因は顧客である米国一般大衆の伸びない給与と税、社会保障負担増の組み合わせにあると思われます。同社の顧客は中~低所得層と見られ、その売上規模からこれらコア層の広範な消費姿勢が伺えるところです。

同社業績の上のような状況は何を示しているのでしょうか?米国FRBのQE(量的緩和)が、当初こそ危機脱出に威力を発揮したものの、後半は中所得層以下にとってほとんど何ら効果的でなかったことを意味しているのかもしれません。最近のQEは元々金持ちだった人々をスーパーリッチにしたはずですが、それ以外の層については可処分所得の向上に繋がらず、雇用統計も緩慢なままです。

株価は騰がるのに、伸びない給与と税、社会保障負担増……なんとなく今の日本にもダブるような気もします。この米国の量的緩和政策の最終結果は、昨年始まったアベノミクス、日銀による異次元緩和の最終結果を示唆している可能性もあります。

参考:グローバルグロースレポート

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