小説には3箇所の鮨屋が出てくる
この小説に出てくる鮨屋は全部で3箇所ある。まず冒頭の番頭2人の話に出てくる京橋の鮨屋。神田から外濠に乗って15分でいける場所にある。「外濠」というのは、東京電気鉄道のことで、今の外堀通りを走っていた路面電車だ。虎ノ門、市ヶ谷から四ツ谷方面まで走っていた。JR神田駅から南に歩くと外堀通りがある
「何でも、与兵衛の息子が松屋の近所に店を出したと云う事だが、お前は知らないかい」
「へえ存じませんな。松屋というと何処のです」
「私もよくは聞かなかったが、いずれ今川橋の松屋だろうよ」
「そうですか。で、其処は旨いんですか」
「そう云う評判だ」
2つ目の鮨屋が出てきた。それは、今川橋の松屋の近くだそうだ。
今川橋は交差点として今も神田駅の近く、中央通りにある。ここにあった松屋とは、今の銀座にあるデパート松屋の前身だ。交差点近くには今川橋の説明もある。
そして、いま山梨中央銀行がある場所に松屋があったそうだ。つまり小説に出てくる2つ目の鮨屋はこのあたりにあったのだ。小説に出てくる3つ目の鮨屋は京橋にある屋台の鮨屋となる。ちなみにこの今川橋はあのあんこが入った「今川焼き」の名前の由来にもなっている。