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志賀直哉の短編小説『小僧の神様』の舞台を歩く(2ページ目)

1920(大正9)年に発表された志賀直哉の小説『小僧の神様』の舞台となる神田~京橋を歩き、鮨屋にも入ってみた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

小説には3箇所の鮨屋が出てくる

この小説に出てくる鮨屋は全部で3箇所ある。まず冒頭の番頭2人の話に出てくる京橋の鮨屋。神田から外濠に乗って15分でいける場所にある。「外濠」というのは、東京電気鉄道のことで、今の外堀通りを走っていた路面電車だ。虎ノ門、市ヶ谷から四ツ谷方面まで走っていた。
かつてはここを路面電車が走っていた。

JR神田駅から南に歩くと外堀通りがある

そして再び番頭2人の会話。

「何でも、与兵衛の息子が松屋の近所に店を出したと云う事だが、お前は知らないかい」
「へえ存じませんな。松屋というと何処のです」
「私もよくは聞かなかったが、いずれ今川橋の松屋だろうよ」
「そうですか。で、其処は旨いんですか」
「そう云う評判だ」


2つ目の鮨屋が出てきた。それは、今川橋の松屋の近くだそうだ。
 
今は交差点と郵便局の名前などで残っている

かつて松屋があった今川橋の交差点

今川橋は交差点として今も神田駅の近く、中央通りにある。ここにあった松屋とは、今の銀座にあるデパート松屋の前身だ。交差点近くには今川橋の説明もある。
 
昭和25年、竜閑川が埋め立てられ、橋も撤去された

今川橋がかけられたのは天和年間(1681~83年)だそうだ。

そして、いま山梨中央銀行がある場所に松屋があったそうだ。つまり小説に出てくる2つ目の鮨屋はこのあたりにあったのだ。小説に出てくる3つ目の鮨屋は京橋にある屋台の鮨屋となる。ちなみにこの今川橋はあのあんこが入った「今川焼き」の名前の由来にもなっている。
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