お墓・墓石・霊園の選び方/改葬・お墓の引越しの方法

離檀料をめぐるトラブルを回避するには?相場や封筒の書き方

改葬にともない檀家をやめるという意味の「離檀料」について解説! 管理がしやすい場所にお墓を購入して、そこに遺骨を移動するという、いわばお墓の引っ越し「改葬」をする人がいます。封筒の書き方や相場、お寺とのトラブルを回避するためのコツをご紹介。

吉川 美津子

執筆者:吉川 美津子

葬儀・葬式・お墓ガイド

離檀料をめぐるトラブルを回避するには?

離檀料をめぐって寺院とトラブルなんてことにならないために

離檀料をめぐって寺院とトラブルなんてことにならないために

現在、少子高齢化や地方の過疎化などを背景に、管理がしやすい場所にお墓を購入して、そこに遺骨を移動するという、いわばお墓の引っ越し「改葬」をする人が増えています。改葬は家の引っ越しと違って、ご先祖の遺骨を移動するわけですから、親戚間での話し合いが必要であったり、檀家の場合は寺院の協力も欠かせません。改葬にともない檀家をやめるという意味の「離檀料」という言葉が注目されるようになってきました。
   

そもそも離檀料とは

離檀料を包むときの表書きは「お布施」で

離檀料を包むときの表書きは「お布施」で。奉書紙か白封筒を使用。

寺院にお墓がある場合、檀家をやめたりお墓の引っ越しをする際にはそれまでのお礼として「お布施」を包む慣習があります。もともと離檀料という言葉は使われていませんでしが、わかりやすい表現であるということから近年「離檀料」という言葉がよく使われるようになりました。離檀料はあくまでお布施ですから、基本的にはお礼であり、また仏様への感謝の気持ちを表したもの。金額に決まりがあるわけではないのですが、一部のお寺ではこの離檀料にまつわるトラブルが発生しています。
 

離檀料の相場

モノの値段と違って、皆目見当がつかないのが離檀料の相場。住職に訪ねてもほとんどは「お気持ちで」と答える程度で、いくら包めばいいのか悩むところです。
お布施の相場は地域によって、寺院の格によって、またこれまでのお付き合いによって違いますが、一般的には法要1回分程度を目安にすると良いと思います。金額にすると3万~15万円、多くても20万円といったところでしょうか。

ところが中には「離檀を申し出たら、高額な離檀料を要求された」というように、稀にではありますが、車一台が買えてしまうような額の離檀料を要求されることもあります。高額な離檀料は支払わなければいけないのでしょうか?
 

離檀料を払わないと改葬できない?

改葬は、自治体に届出を出し、改葬許可証を受け取らない限り、勝手に遺骨を取り出して移動することはできません。しかしその際、どうしても必要なのが墓の管理者の証明です。つまりお寺のサインと捺印がないと改葬をすることができません。では一方的に「離檀料を払わなければ判は押さない」と言われてしまった場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか?

檀家制度が確立されていた江戸時代と違って、今は信教の自由が認められています。離檀料を支払わないからといって、それを止める権利は寺院側ありませんから、口論や多少の嫌がらせ程度のことはあっても、実際のところ大きなトラブルになる前に解決することが多いようです。

そもそも、本来は埋蔵(収蔵)証明をすることと、離檀の話は別に考えなければいけないことだと思います。
 

円満改葬のポイントは、あらかじめ寺院へ事前相談

高額な離檀料を要求されるケースとして、いくつかのケースがあります。
 
  1. 資産家のため、これまでも多額のお布施が寺院に渡っていた
  2. 管理料などが滞っているため、その分を合わせた額が含まれている
  3. 寺院と檀家の金銭感覚の違い
  4. 前触れなく改葬手続き、埋蔵証明など事務的な話をしたために、寺院に不義理な印象を与えてしまった

この中で、最近特に多くなっているのが4のケースです。これは、寺院と檀家との間で、意思疎通が十分でなかったために起こるケースが多くなっています。

改葬を考えている家族の立場からすると、単なる遺骨の引っ越しとしての認識しかないかもしれませんが、寺院にしてみれば「ご先祖代々の遺骨をお預かりしている」「遺族に代わってお参りをしている」という意識でお墓を守っています。

対して最近の傾向として「新しいお墓を決めました。来月で契約は解除してください」などと、礼を欠いた行動が増えているのが気になります。物件感覚で何の前触れもなく改葬の話を切り出されてしまうと、寺院は面目を失い「高額離檀料を」という事態になってしまうのではないでしょうか。

寺院は単なる遺骨の管理人ではありません。改葬を考えた時点で一報を入れるなり、何かしら前もって相談するなど、良好な関係を保つように配慮することで、こういったトラブルは回避しやすくなります。
 

寺院との関係がこじれてしまった場合

離檀トラブルを避けるためには、一方的に改葬計画をすすめて結果報告をするのではなく、あらかじめ寺院に相談しておくことをおすすめします。

離檀トラブルを避けるためには、一方的に改葬計画をすすめて結果報告をするのではなく、あらかじめ寺院に相談しておくことをおすすめします。

公的機関(国民生活センターなど)での対応は、「私的なもめごと」「宗教への介入」となり基本的には相談にのる程度で、具体的な解決策にはいたらないのが実情です。手続き関連なら行政書士や司法書士、トラブルが悪化したら弁護士に相談しても良いのですが、案外頼りになるのが石材店です。寺院とは長年付き合いがあり、こういった改葬事例も数多く知っていますので、ケースによってどのような対処方法がベターか、指南してくれる石材店も少なくありません。改葬が決まった折には、現在使用している墓地は更地にして管理者(寺院)に返す必要があり、その際に石材店のお世話にはなりますから、気軽に相談してみるとよいでしょう。

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