なぜ発生?! 超高級マンションの施工ミス
大手マンションデベロッパーの三菱地所レジデンスが販売していた「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」(施工は鹿島建設、配管設備の施工は関電工)が施工ミスが見つかり、販売の中止や購入者への賠償を行うというニュースが世間の注目を集めています。当該マンションは最高価格3億円を超えるいわゆる高級分譲マンション(億ション)です。マンションの建設現場では今、建設資材の高騰や職人・作業員の不足が深刻化し始めている。今後もその傾向は続きそうだ(写真はイメージです)
これを他人事と思ってはいけません。引き渡しが3月末に迫っていたため、すでにこれまで持っていた不動産を売却したり、仮住まいをして入居を楽しみにしていた方もいるはずですから。購入者の中には今回の事態に大変心を痛めている方が多くいらっしゃると思います。
私は信頼する建築士の知人にこのニュースについて聞いてみました。彼曰く「これが問題にされたらマンションの設計や建設なんて怖くてやってられない」とのこと。一般的に配管を通す穴が開いていなければ、後から穴を開けて対応することが普通で、建設関係者の中では特段問題視されないといいます。
耐震性や耐久性には特に影響もないことから、マンション購入者には特に説明されず、通常通り販売され、居住者が住むことになるそうです。ですから今回の問題の内容は、建設関係の業界では「想定内」のよくある人為的ミスで、暗黙の了解事項ととらえられているようなのです。
このニュースで私が注目しているのは、それがネットに流れ発覚したこと。常々、私は「ネットの評判は当てにならない」と言っていますが、「こんな風に問題が表面化することがあるのだな、1000に一つは真実もあるのだな」と改めて思いました。
建設業界全体を取り巻く人材難と建設資材の高騰の問題
ただ、この問題の発覚はおそらく施工現場で働いていた人の内部告発によるものなのだと思います。詳しくはわかりませんが、施工内容や賃金のトラブルによるものではないかと考えています。前出の建築士の見解も同じでした。本題は実はここからになります。戸建て住宅のユニット生産ラインの様子。工場内で工事の7~8割を実施し、現場施工が少ないため高い施工品質が期待できる
では、なぜ施工ミスの発生を未然に防げなかったのでしょうか。マンションなどの建設現場には必ず「現場監督」という責任者がいます。比較的規模が小さい戸建て住宅の現場でも同様に配置されます。その仕事内容は施工の段取りを監理するほか、施工状況のチェックをするのが主ですが、他に職人や作業員の手配をするのも重要な仕事です。
しかし、現実には現場監督の重要な仕事は「人集め」になっており、現場の施工チェックまで手が回らないことが多いようです。というのも、マンションの場合は1棟1棟、必要な人を集め、さらには材料を確保するのが普通だからです。ですから、マンションなどの大型建築物の工事費は、その時そのときの社会動向に左右されやすいのです。
今回の億ション施工ミス問題はこのような背景から何らかのトラブルが起こり、問題が発覚したのでは、と考えられます。次のページではこの話から、戸建て住宅の建築・購入を検討する皆さんに注目して頂きたいことをご紹介します。