24時間換気システムのフィルターが高性能化
あるハウスメーカーのシステムでは、花粉なら99%以上、粉じんは(ハウスダストなど)は96%以上、化学物質は80%以上、黄砂は93%を除去、捕集、脱臭できるそうです。最近は特にPM2.5などミクロン単位の物質を取り除けるシステムも出始めています。で、ミソはこれらを住宅が勝手にやってくれるということです(もちろんフィルターの交換や掃除は必要ですが)。例えば空気清浄機を全室に設置すればいいとも考えられますが、その購入費用はかなりかかりますし、いちいちそれぞれのフィルターを交換するのも面倒。24時間換気システムの場合ですと、一つのフィルターの交換ですみます。
24時間換気にプラスして全館空調システムを取り入れることにより、家族の健康維持に対してさらに大きな効果が期待できます。全館空調のメリットは、室内の温度差が少なくなること。例えば一般的な住宅の場合、居室と脱衣場、浴室の温度差が大きく、それが原因で高齢者にヒートショックという症状が発生しやすくなります。
具体的には心筋梗塞や脳梗塞などです。実は高齢者の死亡原因の第1位がヒートショックによる症状。全館空調システムというのはその発生を極力回避できるものであり、室内空気質の中でも「温度」の改善、バリアフリー化を図るものとして近年の住まいづくりでは重要なものと位置づけられています。
もっとも、全館空調システムの導入以前に建物全体の気密・断熱性能が高くなければ、室内空気環境の根本的な改善にはなりません。断熱性能が低く、すきまが多くて熱が逃げやすい家では、例えば今のような時期は寒くて仕方ありません。エアコンやストーブをバンバン使えばいいかもしれませんが、それでは省エネではなく経済的でもありません。
建材や家具の化学物質にも健康を損なう素材が…
さて、空気質のもう一つのポイント、化学物質の含有量が少ない建材の使用も、家族が住まいで健康に暮らすために大切なことです。ひとくくりに「ムク材を使えば問題が解消されるのでは」と感じられるかもしれませんが、ことはそう簡単ではありません。例えばムク材にも微量な油分が含まれており、敏感な人ならそれでシックハウス症候群の症状を発症してしまうケースも報告されています。仮に住宅建材に原因物質がほとんどなくても、家具などに含まれる化学物質で症状がでる方もいらっしゃるそうで、実は問題を抱える人にとってはそうした点にも配慮が必要になるのです。
現在、建築基準法によりシックハウス症候群の原因となる有害物質(VOC=Volatile Organic Compound)の対策が行われています。具体的にはホルムアルデヒドという化学物質について使用が規制され、床材などの建材にはホルムアルデヒドの放出量「F☆」というように表示することとなっています。
最も放出量が少さい区分は「F☆☆☆☆」です。一方、ホルムアルデヒドと同じ有害物質でありながら公的な放出量の規定がなく、放出量の小さい部材の選定は困難な物質もあります。トルエン、キシレンなど接着剤に含まれるシンナー系の物質がそれにあたります。
これらについてもしっかりしたハウスメーカーや工務店なら各建材について、独自に放出量を確認し、対応しています。F☆☆☆☆の建材を使用するほか、接着材や化粧シート、塗装のVOC放出量を把握しできるだけ放出量が少ないものを使い、引き渡し前には換気システムにより、これらの物質を排除するといった取り組みです。
最近は引き渡し前にVOCの濃度を測定して、その結果を施主に提出することも、ハウスメーカーの中では一般的になってきました。このような室内空気質に関してどんな対応をしているのかを確かめることも、依頼先を選部際に相手の誠実さ・真面目さを推し量る判断材料になると思います。