印象派の絵画を見て「きれい」と言っても、現代美術の作品を見て「分からない」と言うのはなぜでしょうか。印象派の画家たちは、当時生まれた写真の技術に負けないように、という問題意識のもと、光を取り入れるように風景や人物を描いていました。その問題意識は、現代美術では通用しません。
《White》、2011年

《White》、2011年


 
今回インタビューした荒木由香里さんの問題意識は、写真や光ではありません。作品も、具体的な何か(美術用語で「具象」と言います)を表現したいわけでもありません。

作品の素材は身の回りにあるもの

《Red》、2011年

《Red》、2011年


 
上記の画像をクリックして、大きくして見てください。荒木由香里さんの作品は、ペンやハサミといった文房具、ストローやリボンなど、身近にあるさまざまな素材を組み合わせた立体作品です。

「彫刻・立体作品というと、木を彫ったり、鉄を溶接する作品もあります。私の場合、自分にとって身近なものを素材につかって立体作品にしています」。

荒木さんだけでなく、いまの現代美術のアーティストは、身近な素材=日用品を作品の素材としてつかう人が多くいます。中には、日用品そのものを置いただけ、を「アート作品」として発表しているアーティストもいるくらいです。

「私の作品は、同じ系統の色(美術用語で「モノトーン」と言います)の素材をつかい、手を加えて、違う形にしています。ふだん隣同士にならないものを並べ、かわいい『モノ』と危険な『モノ』が同居するように組み合わせています。よく作品につかう『靴』のように、古いモノ、捨てられるモノをつかうことで、私の周りにあるモノを大事にしたいという気持ちもあります」。

作品の画像を、体を引いて見てください。何か感じませんか。