後頭部や首が痛いなら、片頭痛かもしれません
「頭が痛い」といわれたら、あなたはどの部位が痛いと思いますか? 「頭が痛い」といったら「頭」に決まっているじゃないか! そうおっしゃらずに、ちょっと待ってください。あなたのいう「頭」はどの部位ですか? 額? コメカミ? それとも後頭部ですか? 頭のどの部位が、どのように痛むのか?という情報は、どのタイプの頭痛かを決定するのに、とても重要なことです。今回は、偏頭痛と肩こりについてお話します。
首こりの症状は偏頭痛の可能性あり
「先生、私は肩こりが原因だと思うんです。肩がこってきて、後頭部が痛くなってくるんです。」こう訴え、当院の頭痛外来を受診される方が本当は偏頭痛だった、ということがとても多くあります。「偏」頭痛(「片」頭痛)というのだから、「頭部左右の片側どちらか一方が痛いのが偏頭痛」で、「頭全体が痛かったら緊張型頭痛」だと思っていませんか?
確かに偏頭痛は、頭の片側一方が痛みを感じることが多い頭痛ですが、実は4割の人は両側性です。ですから、「頭全体が痛いから片頭痛ではない」と決め付けるのは大きな問題なのです。
また、後頭部や首筋が張ったりこったり、痛みを感じると「肩こりだ」、もしくは「緊張型頭痛だ」と自己診断しがちです。しかし、片頭痛は、中枢神経の脳幹や顔の痛みを感じる三叉神経から起こると考えられている頭痛です。脳幹や三叉神経の根元は頭と首の付け根の奥にあります。ですから片頭痛では後頭部から首筋にかけての痛みを訴え、三叉神経とつながる首の神経の影響で肩こりを強く感じます。なんと偏頭痛を訴える3人に1人は、頭というよりは首、後頭部が痛くなることが主症状なのです。
肩こりだと思ってマッサージを受けたらかえって悪化する!?
偏頭痛では、延髄にある三叉神経が三叉神経脊髄路核(さんさしんけいせきずいろかく)でつながる首の神経に影響を与えます。首の神経は後頭部から首、肩に広がる僧帽筋を収縮させ、肩こりを感じさせます。そこで、つらい肩こりを解消しようとマッサージにいったら、さあ大変! 血管の拡張と炎症が原因だと考えられている偏頭痛にマッサージするのですから、血流が改善することでさらに肩こりや頭痛を悪化させてしまうことに。偏頭痛が原因の場合、肩こりに対処したつもりが、かえって症状を悪化させてしまうのです。
正しい偏頭痛の治療を受けましょう
偏頭痛は慢性的に繰り返す病気ですから、自己判断で独自の対処法に頼ってしまうことがよくあります。その場しのぎの痛み止めを飲んでいるうちに薬物依存症になったり、薬を飲みたくないからと我慢を積み重ねるうちに、耳鳴り、吐き気、めまい、不眠、不安症を発症することもあります。偏頭痛は、頭痛外来で正しい診断を受け適切な治療すれば生活の質が大きく改善し、あなたらしい人生を送ることができる病気です。ぜひ、お気軽にお近くの頭痛外来を受診しましょう。