そもそもワーキングホリデーは、異文化において休暇を楽しむ主旨のものであり、帰国後の就職活動を有利にするキァリア形成を目的とした制度ではありません。
ただ、そうは言っても18~30歳の方が一旦は仕事を辞めて日本を離れ、概ね1年後には帰国するわけですから、家業を継ぐような方以外のほとんどの方は帰国後に仕事を探さなくてはいけません。本人としてはちょっと長めの「ホリデー」のつもりでも、現実としての帰国後の再就職を気にかけておく必要があるのです。
企業側の採用ニーズを知ろう
対策を立てるには企業側の考えを知ることも大切です。中途採用を実施している日系企業の多くは、20代前半であれば営業職や技術職として会社で育成するつもりで採用するため、その会社の要求する基本的な素養があれば、会社との相性などが採用決定の主な要因になります。いわばカラーが合うかどうかを見ているわけです。ところが20代後半や30代の採用となると、企業側は小グループのリーダーや将来の管理職を想定して採用します。業務拡張による採用もあれば、管理職候補の退職による補填もあり企業の事情も様々ですが、基本的には30歳の転職希望者には何らかのスキルや経験を要求するのが普通です。
例えば、前職で部下数人を管理していた経験や、営業成績が良好であったこと、何らかのプロジェクトを担当していて、そういうプロセスについて理解している、といったことです。
このような採用側の事情を知ったうえで、どのようなワーキングホリデーにすべきかを考えることが、まずは大切です。
具体的な成果を手に入れ、まとめよう
一番の対策は、1年間の海外生活で得たものを明確にすることで、自分の行動力や技術力、あるいは統率力などをイメージできるような具体例を用意することです。例えば、アルバイトでも多国籍の職場にあってリーダーだったとか、現地で広告営業をして成績が一番だったとか、現地の会社のホームページを改修して○○%ページへの流入が増えたなどと言った事例です。
もちろん、1年もの間海外で暮らしたわけですから、語学力が向上したことを示す客観的数値(TOEICのスコアなど)を履歴書に書く必要もあります。海外経験を履歴書に記しつつもそうしたスコアを持っていないと、採用側に「1年間、ただ遊んできた」と思われてしまう懸念があるからです。