知らず知らずのうちに腎臓に負担をかけていませんか?

低カリウムレタス

ドクターベジタルの低カリウムレタス。これなら低カリウム食を食べている人でも生のままの野菜が食べられます!

腎臓はそら豆のような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器で腰の辺り左右に2つあります。主に、血液をろ過して尿を作る仕事をしています。尿は体に不要な水分や塩分、そして老廃物を排泄する重要な役割があります。そのため、腎臓の働きが悪くなり、尿を上手く作ることができなくなると、老廃物などの不要なものが体内にたまってしまい、尿毒症になってしまいます。

腎臓の病気には腎炎、ネフロ-ゼ症候群や慢性腎不全、腎癌や腎結石などさまざまなものがありますが、特に問題となるのは、腎炎のうち慢性腎炎(CKD)です。

CKDは割と新しい概念ではありますが、患者さんの数が多く2009年の段階で1330万人(20歳以上の8人に1人)がCKDだと言われています。なぜ、こんなにたくさんの患者さんがいるのでしょうか。

CKDの初期は何の自覚症状もありません。夜間にトイレに起きる回数が増える、手足がむくむ、立ちくらみがする、肩こりなどがひどくなる、体中がだるいなどの自覚症状が出る頃には、既にCKDが進行している状態だとも言われています。

CKDはある程度、進行してしまうと、完全に治療することが難しくなってしまうので、早期発見に努めるのが良いとされていますが、上記のような症状があったとしても、腎臓病を疑って医療機関を訪ねることはほとんどありません。そのため、CKDが見つかった頃には症状が悪化しており、腎臓を守るための食事療法を開始するよう、指示されることが少なくありません。ところが、腎臓病のための食事療法は条件が多く、特殊な栄養素のバランスを要求されますので、実生活で取り入れるのは非常に困難を伴います。腎臓病治療食の条件とは何でしょうか。

腎臓病治療食・食事制限の概略

CKD治療食のコツを一言で言うならば「体重を減らさず、薄味でたんぱく質が少ない食事を摂ること」といえます。このコツの中身は3つのポイントがあります。
1)低たんぱく質、2)適正エネルギーの確保、3)低ナトリウムの3つです。

腎臓が弱っていると、本来ろ過されずに体内にとどまるはずのたんぱく質がろ過されて尿中に排泄されてしまいます。それが原因で腎臓が傷つけられてしまうため、たんぱく質を体の成分を作るのに必要な最低限の量に抑えます。

たんぱく質を必要最低限の量に抑えていますので、たんぱく質をエネルギー源として消費してしまうと、「るいそう」につながります。そのため、適正なエネルギーを確保し、いわゆる著しく痩せた状態である「るいそう」にならないようにすることが大切です。栄養相談で腎臓病食の指示が出ている患者さんには、体重が減少していないか時々体重を測定して確認するようにお願いすることもあります。特に高齢者は食事量が少ないため注意が必要です。

さらに大切なことがもう1つ。低ナトリウム食です。低ナトリウムと聞くと、食塩を摂り過ぎないことが最も重要だと思われる人が多いと思いますが、腎臓に負担がかかっている場合は食塩を摂りすぎないことに加え、カリウムを制限する必要があります。なぜなら、腎臓に負担がかかっているとカリウムを排泄することも困難となり、体内にたまってしまうためです。そのため、食事中の食塩(ナトリウム)を減らしただけは、体内環境はよくなりません。カリウムを制限した食事も併せて指導されるのです。

それでは、カリウムを制限するにはどうすればよいのでしょうか?

腎臓病食のカリウム制限の基本はゆでこぼし

植物が生長する際には3つの栄養素が必要になります。それは、窒素、りん酸、カリウムの3つです。それぞれの植物によって必要な配合バランスは変わりますが、どの植物も必ずこの3つの栄養素が成長に必要なのです。そのため、カリウムが含まれていない植物は世の中に存在せず、野菜を中心とした植物性の食品には必ずカリウムが含まれています。

そこで、野菜の「ゆでこぼし」をするよう指導された人もいると思います。ゆでこぼしとは、野菜類をゆでた後、ゆでた湯は捨ててくださいということです。煮物などはいったんゆでた後、別の水で味付けをして煮物にします。腎臓病でカリウム制限を指導された患者様は、基本的に野菜類はすべて加熱して食べることになります。

この方法はビタミンもゆで水と一緒に捨ててしまうことになりますが、流れてしまうビタミンをもったいないと嘆くよりも、カリウムを摂らないことを優先するため、このような指導がなされることが一般的です。

とはいえ、腎臓病食は1食だけで済むわけではありません。毎日・毎食のゆでこぼしはたいへんですし、時には、腎臓に負担がかかっていなかった頃のように生野菜を食べたいという患者様の声はよく耳にしていました。そのような背景からも、量産化が実現した「低カリウム野菜」が注目されそうです。

特許技術で量産化が実現した低カリウム野菜

低カリウムレタスの栽培

低カリウム野菜はすべて清潔な環境で作られています。

最初に量産化されたのは、レタスでした。カリウム含量が80%以上カットされた、しゃきしゃきとした歯ごたえのレタスです。すべて工場内で農薬を使わずに栽培しているとのことです。会津富士加工(株)のドクターベジタブル(http://drvegetable.jp/)というシリーズです。

現在、発売されているのは、レタスだけですが、年末年始にはメロンも数量限定で発売されました。現在、低カリウムトマトは商品化が実現しており7月に販売開始予定、低カリウムイチゴは商品化に向けて準備中とのことです。低カリウムであるだけでなく、清潔な環境で作られているため、生菌数が少なく日持ちします。そこに目を付けたコンビニエンスストアのミニストップが、このレタスをサンドイッチに使用したところ賞味期限が24時間から48時間に延ばすことができたそうです。このサンドイッチは平成26年2月28日から、販売が開始されています。

栄養成分等は特許の関係ですべての成分が一般公開されているわけではありませんが、レタスの栄養成分を取り寄せて確認したところ、カリウムがカットされている代わりにナトリウムが若干含まれているようです。さらに、ビタミン類は一般のレタスよりもほとんどのビタミンで含有量が少なく、特に一般のレタスには全く含まれていないビタミンAが含まれているようです。食感は軟らかく食べやすいですが、その分、食物繊維も若干低めのようです。さらに、いくら生野菜が食べられるようになったと言っても、毎日1袋食べるというようなこともなかなか現実的ではありません。

このような理由から「このレタスがあれば食物繊維やビタミンはバッチリ! 」とまでは言えませんが、ほとんど食べることを許されなかった生野菜を食べることができるようになったことは、腎臓病治療食の世界に革命が起こったと言ってもよいとさえ感じます。

最近では大手半導体メーカーである富士通がキレイヤサイ(http://www.rakuten.co.jp/fho-sentan/)という商品名で低カリウムレタスと低カリウムほうれん草を販売しています。とくに低カリウムほうれん草は1~2ヵ月待ちの人気商品のようです。
三重県内の株式会社アクア辻農場(http://www.aqua-komono.com/index.html)では太陽を浴びた低カリウム野菜を直売所にて販売しているそうです。
また、長野県の有限会社須藤物産(http://www.sudobussan.co.jp/)では低カリウムトマトの栽培特許を取得し、販売に向けて準備をしているようです。

このように、複数の業者さんが低カリウム野菜の製造・販売に乗り出しています。
これからもたくさんの野菜が発売されて、生野菜サラダが食べられる日が来るといいと思います。しかし、何よりも腎臓は無言で働いていますので、負担がかかりすぎないように健康なうちから食塩の摂りすぎなどに注意して腎臓を守ることがいちばん大切です。
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