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さまざまな革新を見せた「2014CES」レポート

今年、1月にラスベガスで行われたCESというイベントに行ってきました。これ「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」の略で、その名前の通りさまざまな一般ユーザー向けエレクトロニクスデバイスを展示するイベントです。今年のこのイベントがどんな感じだったかご紹介したいと思います。

一条 真人

執筆者:一条 真人

デジタルガイド

今年、1月にラスベガスで行われたCESというイベントに行ってきました。これ「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」の略で、その名前の通りさまざまな一般ユーザー向けエレクトロニクスデバイスを展示するイベントです。テレビやAV機器、冷蔵庫、洗濯機などの白物家電などの身近なアイテムに加え、スマートフォン、タブレットなどのトレンド的なアイテム、パソコン、カメラまで幅広いものが展示されています。

展示ブースに加え、プレス向けに今年の注目製品を語る「プレスカンファレンス」やメーカーのトップなどが、自社がこれから何を目指すのか?を語る「キーノート」などの講演も行われます。

プレスカンファレンスは一般向けに開演する初日の前日に行われるため、プレス陣が取材した速報記事を見てから、一般人はCESを訪れることができるという仕組みになっています。また、プレスカンファレンスの前日には「Unvealed」というお披露目パーティがあり、注目の新製品をいち早く展示します。

unvealed

高級ホテルの一室で行われるUnvealed Party.


ThinkPad8

Unvealedでお披露目されたレノボThinkPad8




話題のキーノート

今年のCESの1つの話題はソニーの社長兼CEOの平井氏が行ったキーノートです。最近、イキオイに乗るソニーは、今後、何をどうしていくのか?というわけです。このキーノートには僕も行きましたが、まずは平井氏があまりに流暢な英語を話されるのに驚きました。

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大きな注目を集めたソニー平井氏のキーノート。



内容としては今まで、ソニーは今まで人々の生活を変えるようなインパクトの大きな製品を作ってきたが、これからもそういう存在でありたい。作ってきた製品は必ずしも成功したものばかりではないが、その姿勢は変えない。人々はWOW(ワオ)と驚くような製品を作っていきたい。というようなメーカーとしての姿勢の話をした後、今後の製品をどうしていくか?を紹介してくれました。

意表をつくことに、今後のソニーは「センシング技術」の分野を開拓していくそうです。これは人体のセンシングをして健康関連を、自動車のセンシングをして、ドライビングサポートを、自然をセンシングすることで農業サポートを考えているそうです。

そして、直近のサービスとして、「Playstation Now」を発表しました。これはクラウドゲーミングサービスで、北米では昨年末に発売された「プレステ4」でプレステ3までのゲームがプレイできるというものです。また、これをプレイできるのはプレステに限らず、ブラビアやXperiaでもプレステ3までのゲームがプレイできるようになります。ちなみにこのサービスは北米では今年夏あたりに開始される予定になっています。

Playstation Nowサービスが始まれば、これに対応したソニー製のテレビ「ブラビア」であれば、ゲーム機なしにテレビだけでプレステ3までのゲームがプレイできることになります。大きな改革と言えるでしょう。

AV機器のトレンドは?

最近はスマートフォンが流行ですが、今回のCESではあまり目立ったスマホはない感じ。変わったところで、LG電子のカーブした端末「G Flex」が目を引く程度という感じです。これに対して、スマホのエンジンとも言えるモバイルプロセッサはクアルコムの「SnapDragon805」、nVidiaの「Tegra K1」などが発表され、注目を集めていました。これらのプロセッサを搭載した端末で出てきてからが面白くなるという感じでしょうか。

Gflex

カーブボディで注目を集めたLG電子「G Flex」



これに対して、AV関係は強力なデバイスが並んでいました。ソニー、東芝、パナソニックなどのAVメーカーは4K(Ultra HD)解像度のテレビを並べ、多くの人々の興味を集めていました。そして、サムスン、LG電子などの韓国メーカーはさ曲面ディスプレイ搭載のテレビを展示し、高い人気を得ていました。また、日本メーカーでは東芝も曲面ディスプレイを展示していました。

LG曲面

曲面で注目を集めたLG電子のテレビ


東芝曲面

東芝の曲面ディスプレイテレビ



また、今回のCESでは興味深いビデオカメラも並べられていました。ソニーが4K対応で2000ドルというリーズナブルな価格のビデオカメラを発表。また、パナソニックはメインカメラ以外にディスプレイ横にサブカメラを搭載し、2つのカメラで同時撮影ができる「ツインカメラ」機能を搭載したビデオカメラを展示しており、これは日本でも今年、春モデルとしてリリースされるようです。

ソニー4K

ソニーの4K対応ビデオカメラ



そして、ソニーは「アクティブカム」という名前でGoProに対抗するようなコンパクトでタフなビデオカメラを作っていますが、透明なプラスティックケースに入れないと防水にならないのが残念なところ。これを改善し、本体だけでも防水となる新モデルを展示していました。これも遠くない未来に日本国内でもリリースされることでしょう。

また、スマホやタブレットの流行と関係あるのか、Bluetooth接続のコンパクトで音のいいスピーカーがいくつも展示されていました。

自動車もハイテクに進化する

最近では自動車メーカーの出展も増えているのですが、これは電気自動車やナビゲーションなどのエレクトロニクス的な要素があるためです。BMW初の電気自動車である「i3」は技術的な展示があるだけではなく、試乗をすることもできました。

BMW

試乗もできたBMWi3。


このi3は単純に現在の自動車に駆動力だけ電気にしたというものではなく、インテリア素材をエコなものにしたり、軽量化を追求したり、コンパクトなボディのなかで観音開きのドアを採用して、後部座席にも出入りしやすいなど、さまざまなチャレンジがされています。僕も試乗してみましたが、まさに未来のシティビークルという感じです。電気モーターはトルクが太く、中速域までの加速が強力で、軽々と交通の流れに乗れる感じです。

BMW3

未来を感じる電気自動車BMW i3


i3NAVI

BMWi3のナビゲーションシステム



このi3のエレクトロニクス部分を駆動しているのは実はnVidiaのプロセッサだそうです。そして、AudiのハイテクカーもnVidiaのTegraを搭載しています。ハイテクカーの電子エンジン部分はまさにスマートデバイスと同じようなプロセッサで駆動されているというわけです。

Audi

Audiプロトタイプカー



これらの分野は今後もさまざまに進化していくことでしょう。

多くのウェアラブルデバイス

GoogleGlassやスマートウオッチなどから話題が盛り上がっているウェアラブルデバイスもいろいろ展示されていました。なかでもインテルが展示していたSDカードサイズのコンピュータ「Edison」のインパクトは相当なものです。SDカードサイズでWi-Fiやブルートゥースも内蔵しているので、さまざまなウェアラブルデバイスを開発するキーとなりそうです。

インテルブースではこれのEdisonを使ったベビーウェアも展示されていました。これは赤ん坊の状態を離れた場所からも知ることができるというもので、マグカップタイプの表示デバイスも合わせて展示されていました。お茶を飲みながら、赤ん坊の状態を知ることができるわけです。

Edison

SDカードサイズのコンピュータEdison


マグカップ

ディスプレイ機能を持つマグカップ


mimo

センサー搭載ベビーウェア「mimo」




今年が楽しみ

CESは今年、1年、そのメーカーがどんなものをリリースしていくか?を示す場所なので、この延長上に今年の流れがあることが予想されます。スマートフォンやタブレットは、4K再生や写真の高度なレタッチなどよりメディア的な能力を高め、テレビやビデオカメラは4Kがより普及していくことになりそう、などと感じさせてくれるCESでした。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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