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話しかけて一瞬で翻訳――翻訳デバイスili(イリー)

株式会社ログバーは2016年1月31日、都内で製品発表会を開催。世界初のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」を発表した。

執筆者:All About 編集部

世界初のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」

世界初のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」


株式会社ログバーは2016年1月31日、都内で製品発表会を開催。世界初のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」を発表した。

iliは2017年6月より法人向けサービス“ili for Guest[イリー フォー ゲスト]”として月額3,980円でライセンス展開された後、2017年中に一般向けにも発売予定。なお、一般向けの価格や販売形態などは現時点で未発表となっている。


話しかけるだけで瞬時に翻訳、同時通訳のような使用感

ili(イリー)の操作は極めてシンプルだ。本体中央のボタンを押しながら言葉を吹き込み、ボタンを離すとそれが翻訳された音声としてスピーカーから発せられる。翻訳にかかる時間は“最速0.2秒”。ほぼ同時通訳のような感覚で使うことができる。インターネット接続が不要で、スタンドアローンで使えるのも特徴のひとつだ。
iliの利用手順は4ステップ

iliの利用手順「押す、しゃべる、近づける、離す」の4ステップ


また、リピート機能でくり返し音声再生ができるほか、自身の発した言葉をiliがどう認識したかを確認する機能も搭載。シンプルな構成ながら、“言葉を伝える”という点においてiliの機能は充実している印象だ。
本体は手のひらサイズ。小さめのテレビリモコンといった印象

本体は手のひらサイズ。小さめのテレビリモコンといった印象


言語は日本語、英語、中国語に対応しており、2017年夏頃には韓国語へも対応予定。今後はタイ語、スペイン語などさらなる拡充も検討されている。


iliの翻訳は「旅行」に特化したチューニング

喋った言葉が瞬間的に翻訳され、しかも音声になる――と聞くと、まるで夢のような、それこそ『ドラえもん』のひみつ道具“ほんやくコンニャク”が実現したように感じられるが、じつはiliには明確な弱点がある。ただし、その弱点は“開発者がひた隠しにしたい”類のものではなく、公式に明らかにされているものだ。

具体的には「商談や交渉など」「業界用語や専門用語」「医療現場など」「長い文章・複雑な文章」が、iliの苦手なことになる。いずれも間違いが許されない、あるいは間違いが起きやすい状況だ。

では、iliが活きるシーンとは? ログバー代表取締役CEOの吉田卓郎氏が発表会で「海外旅行に行ったときに使ってほしい」と語ったとおり、iliは“旅行”というシチュエーションに特化したウェアラブル音声翻訳デバイスなのだ。そのため、登録されている単語もあらゆる単語を網羅することよりも、「旅行会話」に合わせたチューニングに重きが置かれている。
ログバー代表取締役CEOの吉田卓郎氏

ログバー代表取締役CEOの吉田卓郎氏


たとえば「高いです」という日本語。これを英語に訳す場合、価格が高いことを示す「It is expensive」と、高度を示す「It is high」の2通りが翻訳の候補として考えられるが、iliでは旅行シーンにおいて使われる可能性が高い前者を採用し、より自然なフレーズで表現してくれるのだ。
翻訳は旅行会話に合わせてチューニングされている

翻訳は旅行会話に合わせてチューニングされている


iliに登録されている単語数は非公開だが、発表会後にタッチ&トライで実際に操作した限りでは、語彙も翻訳の精度も非常に高い印象を受けた。

「部屋に歯ブラシを持ってきてください」なんて、旅行中いかにも使いそうな表現はもちろん問題ない。ちょっとヒネった「朝食にシリアルはありますか?」という表現も難なく翻訳してくれる。これはさすがに難しいだろうと思いながら発した「朝食のあと、部屋にシーツを持ってきてください」が、流暢な英語で流れだしたときは、思わず「スゴイ!」と唸ってしまった。



双方向での翻訳は不可、「言いたいことを伝える」を重視

先に挙げた“苦手なこと”以外にも、iliにはできないことがある。双方向での会話だ。一台のiliで翻訳できるのは「日本語→英語」「中国語→日本語」など一方向に限定されている。吉田氏いわく、双方向での会話も視野に入れていたものの、実証を重ねるうちに多くの人が「対話」よりも「言いたいことを伝える」ことに満足感を抱くことがわかったからだという。
ハワイのワイキキエリアでは、すでにiliを導入しているショップも。「iliを使っても恥ずかしくない」(吉田氏)環境作りを進めている

ハワイのワイキキエリアでは、すでにiliを導入しているショップも。「iliを使っても恥ずかしくない」(吉田氏)環境作りを進めている


ただし、法人向けサービスでは入出力言語のカスタマイズが可能なので、言語ごとに複数台のiliを用意する必要はない(一般向けデバイスについては、現時点で詳細不明)。そのほか、法人向けサービスでは固有名詞などを自由にカスタマイズできるオリジナル辞書追加機能、使用頻度の高い単語やフレーズが閲覧できるログシステムも用意されている。

また、製品発表会ではiliの事業パートナーとして、イオンモール株式会、東京地下鉄株式会社、株式会社ビジョンが発表された。各社とも高まるインバウンド需要に対して、iliを活用していく考えだ。来日した海外の観光客から、iliを通じて話しかけられる日もそう遠くないかもしれない。

[関連サイト]
ili(イリー)公式サイト
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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