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両極のスタイルが両立する大日本プロレスの魅力に迫る

ここ数年、プロレスファンの注目を浴びて躍進しているのが大日本プロレスです。デスマッチを残酷な試合から感動を生む試合に昇華させ、その一方では肉体による真っ向勝負のストロングBJを確立し、相反する2つのスタイルを両立させた大日本プロレスの魅力に迫りましょう。これを読んだら、必ず大日本の会場に足を運びたくなるはずです!

小佐野 景浩

執筆者:小佐野 景浩

プロレスガイド

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大日本の代名詞・蛍光灯デスマッチ

残酷さではなく感動を生むデスマッチ

今年でプロレスが日本に根付いてから60年。かつては「真剣勝負なのか? それとも八百長なのか?」という論争が起こり、勝敗の行方のみが価値判断でしたが、今ではスポーツ・エンターテインメントとして成熟し、多種多様な楽しみ方をされるようになりました。あくまでも勝負にこだわるファンがいるのは当然のことですが、勝敗よりも選手のキャラクターを楽しむファン、ストーリー性を重視するファンが増えているのも確かです。そこに笑いの要素があったりするのも、他の格闘技とは違うプロレスのエンターテインメント性と言ってもいいでしょう。

以前、文化系プロレスとしてDDTを紹介しましたが、2014年の年頭で紹介したいのは大日本プロレスです。1995年3月にデスマッチ主体の団体としてスタートした大日本ですが、今ではデスマッチとストロング・スタイルの両極に位置するプロレスを両立させる団体として多くのプロレスファンから支持されており、プロレスに興味がない人が観戦しても、ハマること間違いなしのプロレスがそこに存在します。

デスマッチと言えば、多くの人は大仁田厚の電流爆破マッチをイメージすることでしょう。大日本も旗揚げ当初は、大仁田の二番煎じは否めませんでした。また大仁田を越えようとするあまり、キワモノ的な試合もありました。しかし若い世代の選手たちが増えるにつれて変わっていきました。アイテム(道具=凶器)に頼って怖さを演出するのではなく、そのアイテムをどう使うかを考えて試合を構築してファンの心を掴むようになったのです。そして最大のヒットは蛍光灯をアイテムにした蛍光灯デスマッチです。観客は残酷ショーを見るのではなく、蛍光灯で傷つきながらも闘うレスラーたちの覚悟、プロレスに対するピュアな情熱を見るのです。

相手を憎んでいるわけでもないのに、むしろ相手をリスペクトしているからこそ血を流しながら命懸けでやり合う選手の姿は清々しくさえあり、そこには感動があります。これはどんなに言葉を尽くすよりも、見て感じてもらうのが一番。そして選手たちは自分の足でリングを降り、試合後には出口で観客を見送り、翌日も休まないで試合に出場することに誇りを持っています。

現在のデスマッチ・ヘビー級チャンピオンの木高イサミは「プロレスって見た目以上にきついんですよ。でも、それでも楽しいんだから、もっとそれを周りに見せなきゃ損だなと思うんです。楽しいものをもっと遠くまで伝えたい」と言います。大日本はデスマッチをキワモノから文化に昇華したと言っていいでしょう。

肉体真っ向勝負のストロングBJも大人気に

もうひとつ忘れてはいけないのがデスマッチの対極に位置するストロング・スタイル……ストロングBJ(ビッグジャパン=大日本)も支持されていることです。以前はデスマッチに参入しなければ大日本ではトップになれないと言われていましたが、それを覆したのが関本大介です。関本は鍛え抜いた肉体で真っ向から勝負する独自のスタイルで他団体にも出撃して「大日本はデスマッチだけの団体ではない」というイメージを定着させました。

結果、大日本にはデスマッチではなく関本に憧れて入門する選手が増え、それがストロングBJというジャンルを生みました。関本、岡林裕二、佐々木義人、河上隆一がパワー溢れる肉体勝負を展開すれば、同じストロングBJでも石川晋也はヨーロッパ流の技巧で勝負。そのレベルは高く、現在の世界ストロング・ヘビー級王者の関本大介は、2013年にはフランスやドイツも含めて17団体に出場して185試合をこなすという超売れっ子です。

大日本の社長兼統括部長の登坂栄児氏は「大日本プロレスには大事なもの、そして誇れるものが3つあります。ひとつは旗揚げ以来、欠かすことのなかったデスマッチ、もうひとつはストロングBJ、最後のひとつはファンの皆さんとの一体感です」と言います。

ぜひ大日本の会場に足を運んでストロングBJの豪技に唸り、蛍光灯デスマッチにスリルと選手たちの心意気を感じ、そして一体感を味わってみてください。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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