直前の市場金利の動きに翻弄される
個人向け国債の金利は、募集が開始される2営業日前の市場金利をベースに発行条件、いわゆる金利が決まることになります。変動10を基準にすると、昨年末にかけての日本株の上昇による債券売り、株式買いという機関投資家の動き。米国の長期金利の上昇を受けて、わが国の長期金利も上昇していました。財務省のHPに公表されている長期金利=10年の動きを見ると、2013年12月2日の金利が0.622%だったものが、12月30日には0.736%まで上昇しているのです。ちなみに、0.736%という水準は同年9月初旬の水準です。
ところが、年明けわが国の株価は2日連続安。米国も株価は軟調に推移したことから、日米の長期金利は低下気味に推移。1月7日には0.696%と再び0.7%台を割ってしまいました。救いだったのは、変動10の金利を決める基準金利が0.72%となったことです。このため、2014年1月募集の金利は0.48%となりました。
救いだったと述べたのは、1月7日に入札が行われた新窓販国債の10年物の表面利率は、0.6%と昨年12月発行と同じだったからです。長期金利の水準を参考にすれば、表面利率は0.7%になってもおかしくはないと思ったからです。
1月募集の金利はいずれも12月より上昇
先に一部述べたように2014年1月募集の金利は、変動10は0.48%、固定5は0.17%、固定3は0.09%となりました。2013年12月募集と比較すると、変動10で0.05%、固定5で0.02%、固定3で0.01%引き上げられました。12月募集よりやや金利が引き上げられたとはいえ、個人向け社債などと比較すると魅力的な水準とは言えそうにありません。例年、年明け早々から個人向け社債が募集されることは少ないのですが、2014年は早くも第1段の募集が行われています。東海東京フィナンシャル・ホールディングスが、償還期限1年、利率0.5%の個人向け社債を1月6日から募集しているからです。
ちなみに、ネット銀行、地方銀行のネット支店には大きな動きはないようです。依然として、1年物では0.40%を提示している銀行が秀逸ということになります。
個人向け国債を買うなら2014年後半?足下より魅力が増えそう
2013年12月からすべての個人向け国債が毎月募集になったことから、慌てて購入する必要はなくなりました。確かに2014年1月募集は金利が引き上げられたとはいえ、すぐに購入しなければならない金利水準ではないうえ、売り切れる心配もないからです。(個別の金融機関では、売り切れになることもありえます)毎月募集が行われる、言い換えれば毎月購入するチャンスがある個人向け国債ですが、購入するのであれば年後半まで待った方がよいと考えられます。
2013年12月下旬に機関投資家の債券担当者に実施したアンケートによれば、2014年の長期金利の予想レンジの中央値は0.925%。足下よりもプラス0.20%も高い水準です。仮に長期金利が0.925%まで上昇すれば、変動10の金利は0.61%まで上昇する計算になるのです。
長期金利が0.925%まで上昇すれば、固定3の基準金利は0.145%前後、固定5の基準金利は0.285%前後に上昇しそうです(財務省HP、過去の金利から推測)。これらの基準金利から個人向け国債の金利を試算すると、固定3は0.11%前後、固定5は0.23%前後の金利になると考えられます。
あくまでも試算になりますが、少なくとも1月募集の個人向け国債よりは高い金利が得られそうです。慌てる事なく、金利の上昇を待つのが得策と思えてなりません。