ゼロではなく、マイナスからのスタートだった
ファイナンシャルインディペンデンスの田口智隆さん。
ガイド:なぜ投資を始めたんですか?
田口さん(以下田口):僕の場合、実は借金がありまして。だからゼロからスタートしたというよりはマイナスからのスタートだったんです。そこからタネ銭を作って、一番最初に買った株は武富士でした。これは、ある株式評論家の方が推奨していた銘柄だったんです。雑誌とかも読んでいましたからね。そういう情報はけっこう手に入れてました。
ガイド:実際に株を買ってからはどうでした?
IPOとの出会い
田口:買ったのはいいんですけど、どうも落ち着かないんですよ。値動きは気になるしで。仕事をしていても手につかない状態で、どうしたもんかと思っていました。そんなとき見つけたのが、IPOの情報です。僕は当時の日興ビーンス証券(現マネックス証券)に口座を開いたんですけど、ここでフィスコの情報を無料で流していたんです。どういう情報かというと、公募価格と上場したときの価格です。それを見たときに、公募価格よりも上場価格の方が高くなっている銘柄がすごく多くてびっくりしました。他の銘柄はどうなのかって書き出して調べてみたら、確かに上がっていたんです。ということは、公募価格で株を手に入れることができれば、確実に儲かるなって思ったんです。
ガイド:公募価格で株を手に入れるのって、難しくなかったですか?
田口:もちろん、普通に考えれば難しいかったでしょうね。でも、それは結局数の問題だったんです。たくさん口座を開けばその分当たりやすくなります。当時僕は1つの口座しか持ってなくて、急いで口座を開きました。一番多いときで60社くらいの口座を持ってましたね。だから、管理はしっかりしてましたよ。エクセルで、日程は当たり前ですけど、主幹事とか副幹事、平幹事とか全部チェックしていました。だって、万が一期間が過ぎてしまったら、もう手遅れですからね。
ガイド:ぶっちゃけ、どのくらい儲かったんですか?
田口:たとえば、90万で買った株が1週間くらいで300万になったこともありました。当時サラリーマンだった僕にとっては、かなり大きな額です。30万とか50万だったら軽く抜けるような相場で、しかも僕の場合借金の時代もあったので「天から金が降ってくる」って感じでしたね。
ガイド:でも、儲からないIPOもあるわけで、その見極めは?
田口:IPOの場合、申し込むのかどうかがすごく重要で、やっぱりやめたほうがいいという銘柄もあるんです。今は違うと思うのですが、当時でいえば東証2部とか大証2部とかの2部銘柄です。あとは、フィスコの情報の中に、参加してもいいのかどうかという項目があって、つまりプロが判断してくれていたんですよ。それがかなり高い確率で当たっていたので、それを元に判断していました。
ガイド:IPO投資はいつ頃までされていたんですか?
田口:2007年くらいまでですね。2008年になったらもうIPO投資も厳しい時代になりました。結局、お金が入ってこなくて、つまり買い手がいなくなったんです。リーマンショックが駄目押しでしたね。