アート・美術展/アートの楽しみ方入門

アート作品の見方~版画編(3ページ目)

現代美術は分かりにくい、と思われがち。美術館学芸員やキュレーター、ギャラリーのオーナーなど、その道のプロの方と一緒にアート作品を見ていきましょう。今回は版画。作品の味わい方のコツが、少しでも分かるはずです。

藤田 千彩

執筆者:藤田 千彩

アートガイド

いま、版画の手法をつかった作品も複雑、広義になりつつあります。そんな作品についても、作品の見方をご紹介いただきました。

さらに技法が発展して

技法やジャンルにしばられることのない、最近のアート作品には、「え!これも版画の技法をつかっているの?」というものもあるんです。
藤田夢香undefined《Portrait-記憶の家I》undefined2013年undefinedアクリルレジン、シルクスクリーンundefined5.8x6.6x3cm

藤田夢香 《Portrait-記憶の家I》 2013年 アクリルレジン、シルクスクリーン 5.8x6.6x3cm

この作品を「版画」と言われても、どこが版画か、ピンと来ません。今まで見てきた作品は、紙にプリントされていたからです。この作者である藤田夢香さんは、子供や旅先での風景、建物などの写真をアクリルの立体にプリントしています。そう、版をつくって、プリントする版画の手法をつかっているのです。

「どんなタイプの作品でも、まずは手法にこだわらないで見てください。藤田さんは別々の時間や場所で撮影したものを、ひとつの透明なアクリルに封じ込めています。そうすることによって、いくつもの『詩』や『物語』を紡いでいく、そこが藤田さんの作品の魅力です」。

この家の形は、高級カメラにつかわれるような、透明度の高いアクリルがつかわれています。光に透かせたり、角度を変えることで見え方も変わります。

「藤田さんの作品は、手のひらに載るような小さなものが多いので、身近なところに作品を置いて、作品と対話や会話をしてみてください」。

おまけ

今回お話を伺った、不忍画廊/SHINOBAZU GALLERYのオーナー・荒井裕史さんは、ギャラリーを経営しながら、作品を販売する仕事をしています。

「新しい手法とか、描き方とか、一見して目に見えるものに興味や魅力を感じられているよう
です。しかし本当はその作品のコンセプトとか作品の内側にある一番伝えたいもの、一見しただけでは伝えられないものに興味を持ってもらう事が一番だと思います」。

【展覧会・イベント情報】

今回取材をさせていただいた、不忍画廊/SHINOBAZU GALLERYの展覧会情報です。

渡辺千尋「風の遺跡」1979年作

渡辺千尋「風の遺跡」1979年作

渡辺千尋展 「象の風景、ふたたび。」
2014年1月15日~2月8日

世界でも有数の「ビュラン(お札の印刷技法!)」の名手、渡辺千尋(わたなべちひろ/1944~2009)の回顧展。1989年に開催された個展「象の風景」。画集が刊行され、全出品作がプラハ国立版画美術館に収蔵されました。不忍画廊/SHINOBAZU GALLERYではその伝説的な個展出品作を中心に展示致します。

練馬区立美術館でも、2014年2月9日まで開催中。
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