長年の持論として「景気が変わるとドラマも変わる」と考えています。アベノミクスの2013年、記録的高視聴率の『半沢直樹』に超話題作の『あまちゃん』と大ヒットを二作も輩出する、ドラマ復権の年となりました。
景気とドラマの関係性、それが一番よくわかる実例はトレンディドラマです。
「トレンディドラマ」は88年からの三年間限定?
「トレンディドラマ」の意味をwikipediaで調べると、「1988年から1990年にかけてのバブル景気時代に制作された日本のテレビドラマの一部を指して使われるが、和製英語である上に明確な定義はない」と書かれています。「定義はない」ので、いまだに都会の若者による派手めの恋愛ドラマをトレンディドラマという人もいます。ガイドとしてはWikipediaと同じ意見で、88年の『君の瞳をタイホする!』『抱きしめたい!』からの三年間に限定したものだと思います。
好況と不況の間
80年代から90年代半ばまでのトレンディドラマを中心にした流れを、景気データから見てみましょう。参考資料として80年~95年の経済成長率(出所は社会実情データ図録より)を示します。79年の第二次オイルショックにより80年前後は不況期。この時代の中心は山田太一、倉本聰、向田邦子、早坂暁、市川森一といった文学性の高い脚本家たちの作品。ピークは81年で『北の国から』vs.『想い出づくり。』の同時間対決に『あ・うん』『夢千代日記』などの名作が並びます。
好況に転じ、バブルへの助走が始まったともいわれる83年にはドラマの傾向ががらっとかわり、連ドラ史上最高視聴率の『おしん』、朝ドラを除いあ最高視聴率の『積木くずし』と『半沢直樹』も『家政婦のミタ』も越えられない大ヒットドラマが並びます。
経済成長率の推移