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集合住宅「磯子スマートハウス」見学記(2ページ目)

「スマートハウス」といえば、一戸建てと思われがちですが、東京ガスが集合住宅版スマートハウスでエネルギー効率の実証試験を行っています。そこで、「磯子スマートハウス」を見学してみました。どんな集合住宅で、どういった省エネ効果があるのでしょうか。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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「再生可能エネルギー設備」を見学

見学会では、概要の説明を受けた後、再生可能エネルギー設備を見学するために屋上に行きました。そこには一面の太陽光発電パネル。25kW分のパネル140枚が20度の角度に整然と並べられています。同時に風速や気温、日射量も測定して、データを分析することで効率の良し悪しを検証しようとしています。
その横に、10平方メートルの屋上設置型SOLAMOと貯湯タンクが置かれ、こちらは最も効率が良いとされる35度の角度になっています(太陽光発電パネルは高さ制限の影響で35度に置けなかった)。

地下には、40kWhのニッケル水素式蓄電池と充放電可能な電気自動車用(日産リーフ)が設けられています。電力ピークカットや停電に活用する検証が行われています。
ほかにも、住戸間にエネファーム、1住戸にバルコニー一体型SOLAMOもあり、これらを組み合わせ、融通し合うことでエネルギー利用効率を高めています。

創エネ設備

左)太陽光発電パネル 中央)屋上設置型SOLAMO 右)バルコニー一体型SOLAMO

蓄エネ設備

左)蓄電池 右)電気自動車用急速充電器
 

「パッシブ設計関連施設」や「公開住戸」を見学

次は、太陽光や風を上手く取り入れながら、自然と親しんで暮らすための「パッシブ設計」関連の施設の見学です。建物は自然の風を取り入れやすいよう配置され、建物の南北にそれぞれ緑地が設けられています。建物内を風が通るように、住戸間に吹き抜け空間となる階段室を設けています。外壁の一部に保水性の高いレンガブロックを貼って、気化熱を利用して温度の上昇を抑えるなどの工夫もされています。

南面の緑地は、ヒートアイランド緩和の効果だけでなく、水辺やバタフライガーデンを設けて生き物が集まるようにしたり、居住者が植樹する樹木のエリアやハーブガーデンを設けてコミュニティの促進を図ったり、落ち葉をストックして土に返すヤードを用意したりと多様に活用しています。

階段室と北面緑地

左)住棟内の吹き抜け空間となる階段室 右)北面緑地

南面緑地

左)南面緑地 中央)生き物が集まる水辺 右)落ち葉を土に返す落ち葉ヤード


各住戸にも、パッシブ設計が採用されています。天井をフルフラット、窓や建具はフルハイトで熱だまりをつくらないように設計しているほか、南北(玄関側とバルコニーに面したサッシ側)に通気専用窓を設置し、自然な風が抜けるようにしています。

室内

左上)公開住戸はメゾネットタイプ 右上)天井はフルフラット、各種センサーも見える 下)南北に通気専用窓を設置

>次ページからは、HEMSの活用や2012年度の実証結果について見ていきましょう。

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