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集合住宅「磯子スマートハウス」見学記

「スマートハウス」といえば、一戸建てと思われがちですが、東京ガスが集合住宅版スマートハウスでエネルギー効率の実証試験を行っています。そこで、「磯子スマートハウス」を見学してみました。どんな集合住宅で、どういった省エネ効果があるのでしょうか。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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外観

磯子スマートハウス外観

家づくりの工夫と暮らしの工夫で省エネを行う「磯子スマートハウス」

東京ガスでは、経済産業省が推進する「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の一つ「横浜市スマートシティプロジェクト」の一環として、集合住宅版スマートハウス実証試験を行っています。横浜市磯子区にある東京ガスの社宅(24戸)に、省エネ・創エネ・畜エネ設備を導入し、建築上の工夫をするといった「家づくりの工夫」と、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)※を通して、住み手の省エネ行動を促す「暮らしの工夫」によって、エネルギー使用量をどの程度抑えられるのか3年間にわたって実証するものです。
※HEMSとは、情報通信技術を用いて、家庭内の熱・電気の需要と供給を見える化し、適切な管理を行うシステムのこと。

具体的な内容を見ていきましょう。まず、「家づくりの工夫(1)」として、建物の外壁に外断熱を、窓はLow-Eペアガラスを採用し、省エネルギー対策等級4超を確保する高断熱仕様にしています。さらにパッシブ設計により、建物南北に緑地を配し、住戸間に吹き抜け空間となる階段室を設け、自然の風を通す工夫をしています。

また、「家づくりの工夫(2)」として、再生可能エネルギー設備を最大限設置。屋上に太陽光パネル、太陽熱利用ガス温水システムSOLAMO(一部住戸にバルコニー一体型を設置)、家庭用燃料電池エネファームを4世帯に2台ずつ計10台設置しています。地下には、蓄電池と電気自動車(カーシェアリング)用充放電設備も備えています。

これらの設備を活用して、統合制御システムで棟全体のエネルギーマネジメントを行い、24戸でエネルギーを融通し合うことで、エネルギーの効率利用を図っています。電気は、太陽光発電パネルとエネファームで発電したものを住棟全体で利用します。余った場合は同じ敷地内の社宅や独身寮へ融通し、不足する場合は一括受電による電力会社の電気を利用します。給湯は、エネファームとSOLAMOでそれぞれのグループごとに使用し、熱が不足する分については、各住戸に設置した高効率ガス給湯器エコジョーズの熱源でまかなう仕組みになっています。

さらに、停電時には、蓄電池とエネファームで電力供給を行うほか、CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)と連携して、地域の電力ピークカットにも対応する仕組みも整えています。

エネルギーシステム

エネルギーシステムの概要(東京ガス提供)

>次ページからは、見学した省エネ関連施設・設備について見ていきましょう。

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