今回はオークション方式についてお話していきたいと思います。
寄付・引け・ザラ場とは
株式市場が開いている時間は、実はその時間帯によって独特の呼ばれ方があります。株式市場において1日の取引の初め、あるいは午後の取引の初めに成立する売買のことを寄付と言うため、取引が開始される時間そのものも「寄付」と呼ばれていることが多くあります。
反対に1日の取引が終わる時に成立する売買のことを「引け」と言います。これも寄付と同じく、取引が終わる時間そのものを指す場合もあります。
この寄付と引けの間に行われている取引、あるいはその時間帯のことを「ザラ場」と呼んでいます。これは「ザラにある場」ということが語源だと言われています。
ザラ場での価格決定
板寄せ方式で価格を決めるときに使う「板」というものを、ザラ場での株価を決める際にも用います。価格優先の原則や、成行注文が優先するという点も同様です。しかし、板寄せ方式との違いは「時間優先の原則」が大きく影響してくる、という点です。板寄せ方式では、注文を集めてから約定させていくのですが、ザラ場では先に入った注文から次々と約定させていきます。そのため、株価が刻々と変化しているのです。
では具体的な例を元に、ザラ場での株価の動きを見ていきましょう。
すでに下のような板の状態があったとします。ここでは、同じ値段に注文が入っていないため約定することはありません。
ここで、新たに成行で買い注文が3,000株入ったとします。価格優先の原則があるので、一番安い101円4,000株の売り注文と相対させ、買い注文は全て約定します。このときの株価は、約定代金である101円になります。
今度は売り注文に99円(指値)で8,000株の注文が入ったとします。このとき、99円に入っている5,000株から約定するのではなく、ここでも価格優先の原則をもとに、一番高い買い注文の100円6,000株から先に約定させていき、株価は100円となります。
すると売り注文が2,000株余るので、次に高い買い注文の99円5,000株と約定させます。この時、どの2,000株と約定させるかですが、時間優先の原則により、先に入っていた注文から約定されています。
今回の例では、新しく約定するたびに101円→100円→99円と、株価が動いていきました。ザラ場ではこのように株価が決まっているため、ニュースやインターネットのチャート表示などで見られるように、株価が刻々と動いているのです。