メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

五感に響く世界最高峰 M・ベンツSクラス(3ページ目)

大型高級車を得意としてきたメルセデスにとって、歴史と伝統の継承者であるSクラス。間違いなく乗用車として現時点で世界最高峰。S400ハイブリッドであろうがS63AMGであろうが、運転していて、とてつもなく気分がいい。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

走りの質感でSクラスに勝るモデルは存在しない

M・ベンツSクラス

S550には最高出力455ps/最大トルク700Nmを発生する4.7リッター直噴V8ツインターボを搭載。S400ハイブリッドは306ps/370Nmの3.5リッター直噴V6に27ps/250Nmのモーターを組み合わせる

S550ロングを、1500kmほど試乗した。

結論からいうと、間違いなく乗用車として現時点で世界最高峰にある。そこからは、値段の高い安いを超える何か=哲学のようなもの、を感じ取ることができ、これなら“高くて当然”という気にすらなった。7~800万円も出して国産高級車を買うくらいなら、多少高くても乗っている間の精神的かつ肉体的満足度は、相当に高く、総合的に割安であるとも思える。

インテリアのフィニッシュと同様に、街乗り低速から高速道路のロングドライブまで、快適この上ない乗り味に終始した。ボディサイズをさほど感じさせず、旧型よりも身のこなしは確実に軽快になっている。京都の狭い路地だって、ためらうことなく入って行けた。人間の操作に対するクルマの動きが、いちいち自然な反応だから、扱いやすいのだ。運転しはじめてものの数十分もすると、まるで長年つき合ってきた愛車のように、身体に馴染んでくれる。

高速道路では、さまざまなアシストシステムにより、安心かつ安全、そして快適に進んでいけた。特に、ステアリングアシストはかなり有効で、自動運転の未来を体験できるという意味でも面白い装備だ。自動運転の未来は、決してドライバー無視ではなく、快適かつ安全なドライブを確実にアシストするものである、ということを、実感できる。

すべてを説明することは到底できないけれども、なかでもマジックボディコントロールには驚いた。これは、ステレオカメラを使って前方路面の凸凹を認識し、それに備えてサスセッティングを適切に変えていく、というもので、利いたときのフラット感はといえば、正に“魔法の絨毯”かくあるべし、だ。利いたとき、と書いたのは、カメラ認識というシステム上、曇天や雨、夜には機能しないため。その差に驚く、という副作用を考慮にいれても、有効なシステムである。

基本的に、ライドフィールの上質さはショート、ロングともに変わらなかった。また、パワートレインの差もさほど関係ない。S400ハイブリッドであろうが、S63AMGであろうが、運転していて、とてつもなく気分がいいことは間違いない。
M・ベンツSクラス

S63以外には、連続可変ダンパーとエアサスペンションを電子制御することでダンピングを瞬時に最適化するAIRマティックサスペンションを採用

舌を腰に代えて表現したならば、匂いも含めて、五感に響くクルマ。それが新型Sクラスである。走りの質感において、Sクラスに勝るモデルは今、世界を見渡しても存在しない。総合力で乗用車ナンバー1。だから、ボクはCOTYで10点を配した。
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