歯科インプラント/歯科インプラントの値段・保険適用

歯科インプラント費用が保険適応になる条件とは?

歯科インプラント治療に健康保険が適用されることをご存知ですか? 「インプラントは費用が高額」「自費診療は少し躊躇ってしまう」とお考えの方が多くいらっしゃるかと思いますが、条件さえ当てはまれば健康保険での治療が可能なのです。失った歯は元には戻りません。しかし、少しでも自身の歯のように使いこなすことのできる義歯が気軽に手に入れば、皆さんの生活も有意義になるのではないでしょうか?

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

健康保険適応の歯科インプラントとは?

前歯の歯科インプラント治療(術前)

前歯の歯科インプラント治療(術前)

一般的にはあまり認知されていないかもしれませんが、平成24年4月から歯科インプラント治療が保険適用になりました。

お勤めの会社の近くや、ご自宅のご近所の歯医者さんで気軽に歯科インプラント治療が受けられるようになったというわけではなく、一定基準を満たした施設のみが歯科インプラント治療を健康保険診療として適応できるようになったのです。


 
前歯の歯科インプラント治療(術後)

前歯の歯科インプラント治療(術後)

その基準とは、

1. 歯科又は歯科口腔外科を標榜している保険医療機関であること
2. 当該診療科に係る5年以上の経験および当該療養の3年以上の経験を有する常勤の歯科医師が2名以上配置されていること
3. 病院であること
4. 当直体制が整備されていること
5. 医療機器保守管理及び医薬品に係る安全確保のための体制が整備されていること


とあります。

1に関しては一般開業医であっても該当するクリニックが比較的多くあります。2も口腔外科処置や歯科インプラント治療に長く携わっていれば問題ない基準です。今や当直体制を持つ歯科クリニックもありますし、器材や医薬品の管理体制に関しても問題ないので4と5に関してもほとんど問題ありません。しかし、唯一、3に関してはとてつもなく高いハードルになります。

インプラントが保険適用になる条件・「病院」であることとは?

一般的にはあまり認知されていないかもしれませんが「病院」というのは「ベット数20床以上の入院施設を持つもの」になります。ですので、それに該当しない医療機関は全てが「診療所」であり「病院」ではありません。つまり歯科の場合は大半、いいえ、ほとんどが「診療所」であって「病院」ではないのです。現実は「大学病院」以外で歯科の「病院」は数える程しかなく、保険適応で歯科インプラント治療を行える医療機関は非常に少ないのが現実です。

さらに、どんな症例にでも歯科インプラント治療の保険適用できるかというと、そうではなく、「腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷等により広範囲な顎骨欠損または歯槽骨欠損症例」が適応となり、一般的によくある「歯根破折や歯周病など」で抜歯になった場合などは適応されません。

気になる保険治療での歯科インプラント料金は?

さて、施設基準を満たした病院で、症例も適応になった場合の治療費はどれくらいなのでしょうか。広範囲な顎骨欠損なので歯科インプラント1本あたりの費用というのは現実には想定されませんがおおよそは下記の通りになります。

• 広範囲顎骨支持型補綴診断料:1800点
• 広範囲顎骨支持型装置埋入手術
二回法による手術:一次手術:11500点 、二次手術:4500点
• 広範囲顎骨支持型補綴(インプラント義歯)
ブリッジ形態のもの:18000点
床義歯形態のもの:13000点
※材料費 別

入院して手術する場合の費用や初診料など含めていませんのであくまでインプラント治療だけに限った金額です。

ジルコニアオールセラミッククラウン

ジルコニアオールセラミッククラウン(スクリューリテイン連結法式)

保険点数は1点10円となるので、患者負担割合にもよりますが一般開業医の平均治療費30~40万円と比較すると安価になります。最も、初診料や入院費用などは全く含まれていませんし、これに材料費が加わります。そもそも簡単な1本2本の症例ではなく大掛かりな顎骨欠損を伴う場合の多数歯欠損症例になりますので比較すること自体が困難ではあります。とはいえ、一部でも歯科インプラント治療が保険適応になったことにより、ただでさえ国の財政を圧迫している医療費が増える可能性はあるのですが、現実には大学病院などの条件を満たした施設であってもなかなか適応できてはいないようです。

選択肢の広がり……歯科インプラント治療をお考えの方へ

現実的には施設も限られ、適応症例も狭いという歯科インプラント治療の保険適応ですが、唯一言えることは、歯科インプラント治療はマスコミで過剰にクローズアップされているような危険で信頼のない治療法ではなく、「日本の健康保険制度の治療法の1つとしてしっかりと認められた信頼のおけるもの」であること。これは間違いありません。もちろん術者の経験や技術、症例などによって結果は違いますが、失った歯の機能回復の為の選択肢の1つとして認知された治療法なのです。
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