防災/防災関連情報

まるで台風?爆弾低気圧による被害拡大に注目

2013年、例年よりも多くの台風が日本近海にやってきました。中でも10月末の台風26号による伊豆大島での土砂崩れによる被害は甚大で、死者・行方不明者が40名にまで達しました。その後、冬型に気圧配置が変わって、台風は日本近海に近づくことはありませんが、近年では冬の嵐「爆弾低気圧」の発生が危惧されています。この耳慣れない災害はいったいどういうものなのか?どんな被害が発生するのか?この冬の対策を考えましょう。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

爆弾低気圧と台風の違い 

低気圧

偏西風により冷気と暖気がぶつかることで低気圧が急速に発達する。

そもそも台風というものの定義から言うと、日本の南海上にて発生した熱帯性低気圧が暖かい海の上で発達し、最大風速が17m/sを超えたものを「台風」と呼びます。

これに対して近年しばしば発生している「爆弾低気圧」は中緯度や高緯度において偏西風の寒気と偏西風の南側にある赤道方面からの暖気のぶつかりによって発生し、前線を伴うことによって広範囲の激しい雨または雪などの「暴風雨」「暴風雪」を引き起こします。これらは短期間で非常に発達し、大型台風並みの勢力を持つことがあり、古くから「Bomb cyclone」と呼ばれていたために、最近ではメディアでこの言葉が使われるようになりました。

ただし、気象庁ではこの言葉を使われていないため「急速に発達した低気圧」などとの表現になります。そのために注意喚起が遅れるのではないかと思われますが、実際に、台風のようにその進行方向や発達の状況が逐一、天気予報で報道される台風と違って、突然天気図上に現れて、ものの数時間で「爆発的」に発達する「爆弾低気圧」は非常に警戒すべき災害と言えるでしょう。特に日本海側では過去にも数々の深刻な被害を発生させていますし、その勢力も最大瞬間風速は40mを超える、まさに「台風」を超える被害が予測されます。


爆弾低気圧への認識の違いと被害の傾向 

夏から秋にかけての台風シーズンにおいてはレジャーシーズンということもあって、一般の人も天気予報や天気図に関心を持って「台風」の動向には注意していると思いますが、天気予報の「発達した低気圧」には「たいしたことはないだろう」とあまり耳目を引かない傾向があります。最近ブームになっている秋から冬にかけての登山においてはこの「低気圧の動向」に注意していないと、急激な天候の変化によって「遭難」の危機に陥ることになります。もちろん、都心部などの平地においても「爆弾低気圧」では強烈な降雨や強風が吹き荒れることがあり、「準備していない」ことによって思わぬ被害を生むことになります。

過去においては2005年12月に山形県で羽越本線が爆弾低気圧の強風(40mと言われる)により脱線、5人が死亡、32名が重軽傷を負うという事故もありました。一般的に風速が15mを超えると歩行は困難になり、20mを超えると風によって飛んだ看板などによる事故が発生し始めます。2012年、2013年においてもこれらの低気圧の急速な発達事例は継続して起こっており、これらはやはり台風の勢力増加と同様に、日本近海の海水面の温度上昇が原因のようです。今後も日本の南側の海水面の高温傾向は続くと思われますので、冬から春にかけての「低気圧の動向」にはもっと関心を持っていただきたいと思います。

爆弾低気圧の特徴と対策

1. 偏西風の吹く冬から春にかけて発生
2. 日本付近で「24時間以内に急速に発達」する低気圧
3. 台風よりも広範囲に強風・荒天をもたらす
4. 山間部では暴風雪・荒天に注意
5. 低気圧から遠い平野部でも突風・竜巻・豪雨が発生
6. 風速15m/sを超える場合は外出を控える


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