初年度は教育ローンで支払い、月々の奨学金は翌年の学費に
日本学生支援機構の奨学金を例にすれば、採用が決まっても、実際に奨学金が振り込まれるのは5月か6月になります。最初の振込月に4月分までさかのぼって振り込まれ、以降は毎月決まった日に1カ月分ずつ振り込まれます。大学なら4年間(医歯系学部なら6年間)、継続して受給することができます。このような仕組みのため、入学手続きの際に納める入学金を含めた初年度納付金には間に合いません。学費は前期と後期で分けて納めることもできますが、1年分をまとめて納めれば、私立文系で平均120万~130万円、私立理系では平均160万~170万円ほどかかります。
そこで、入学前に必要なこの初年度納付金だけ、教育ローンを利用して支払うことにしましょう。そうすると、1年のとき受け取る奨学金は手をつけずにすむため、2年目の学費に利用できます。仮に月額10万円の奨学金なら年間120万円になるため、私立文系なら学費に加え、教科書代や通学定期代もここからまかなえるでしょう。
同じように、2年生で受け取る奨学金は3年目の学費にあて、3年生のときの奨学金は4年目の学費にあてます。すると、4年生で受け取る奨学金は、卒業時にそっくり残るため、これで入学前に借りた教育ローンの大半を返すことができます。
最終学年の奨学金で教育ローンを繰上返済
たとえば、入学前に教育ローンを150万円借りた場合、親は子どもの大学在学中は月々数千円の利息のみ返済し、卒業後に元利合計で返済することになります。しかし、残しておいた4年生のときの奨学金120万円で繰上返済すれば、残りは30万円。最終的に親が返さなければならない金額はぐんと減少し、1~2年で返済することもできるでしょう。子どもは卒業後に、奨学金を返還していくことが必要ですが、親のローンの負担が減れば、子どもにとっても精神的な負い目が少なくなると思います。
奨学金は子どもの口座に振り込まれますが、親子どちらが管理するにしても、途中で少しずつでも使ってしまうと、翌年の学費には足りなくなることもあります。また、4~9月分の奨学金を後期の学費にあて、残りを翌年の前期の学費にまわすという家庭もありますが、前期には諸会費などが含まれ、後期の納付金より多くなる点には注意が必要です。
1年分の学費の重さを子ども自身が実感し、確実に納付できるようにするためにも、奨学金は1年間取り置き、そこから翌年分の学費を一括で納めるほうがいいでしょう。入学前に親子で話し合い、前述のような資金のまわし方、返し方を検討してはいかがでしょうか。