オルヴァル

オルヴァル

オルヴァルとは

ベルギー南部のリュクサンブール州にある修道院で、現在も造られるトラピストビールの逸品です。11世紀、イタリアの伯爵夫人が指輪を泉に落として、鱒が拾ってくれたお礼に修道院を建てた。鱒が指輪を咥えて上げってきたときに、夫人が「オルヴァル(金の谷)だわ!」と言ったのでこの地はオルヴァルになった!という逸話がとても有名なビールです。その泉はマチルドの泉という名前で、現在もオルヴァル修道院の中にあり、オルヴァルビールのトレードマークにもなっています。


 
オルヴァルのトレードマークのマス

マスが指輪を咥えて上がってきた

逸話もさることながら、ビールの自体のクオリティーも最高です。オルヴァル修道院は1793年、フランス革命後の流れを受けて修道院を破壊されてしまいました。ビールの醸造設備も、レシピも同時に失ったことで、ビールを造っていたことは分かっていますが、どのようなビールだったのかは、誰もわからなくなったのです。

その後100年以上の時を経て、1926年には修道院の再建工事に着工、1931年には醸造所も稼働を始めました。以前のレシピや機材が残っていなかったためか、以前と同じような原材料が手に入らなくなったためかは不明ですか、新しく生まれ変わるレシピはドイツ人の醸造家と、イギリスでビール醸造を学んでいたベルギー人醸造家の二人に委ねられ、現在のレシピが生みだされました。


クオリティーが高い

そのクオリティーは素晴らしく、ドライホッピングと二種類の酵母を用いた醸造方法はオリジナリティが際立ち、現在でもオルヴァルに似たビールがないほどです。ドライホッピングとは、二次発酵後に目の荒い袋に入れたホップ(オルヴァルはスティリアン・ゴールディングスを使用)を入れて、香りと、さわやかな苦みを抽出する難しい技術で、オルヴァルの際立ったキャラクター作りに大きく貢献しています。

近年のベルギーでは、ドライホッピングを行う醸造所がとても少なかったのですが、ここ数年少しずつ銘柄が増えてきました。技術的にも、コスト的にも難しいドライホッピングですが、個性を出しやすく、年度別のヴィンテージも付けやすい、苦いホップ味が流行っている現代には合っているということでしょう。

もう一つの際立ったキャラクターは、培養酵母と天然酵母の二種を使っていることです。天然酵母は麦汁の甘さ(デキストリン)を食べてしまうので、通常のベルギービールのように麦汁に糖分が残りません。オルヴァルの責任者は、「出荷時と、醸造から9カ月目頃に、味の変化が分かりやすいタイミングがあります。違いを楽しみたい方にはこのタイミングのオルヴァルがお勧め!そこから先は時間と共にゆっくりと熟成していきます。」とボトリングされてからの発酵について語っています。

甘さが少ないのでデリケートな料理とも合う

オルヴァルはビール自体に甘さが残っていないので、飲み終わったあとの余韻の短さが特徴です。日本式にいうとキレがあるビールということなります。ベルギーではチコリのグラタンや、チーズ等の乳製品、ホロ苦い野菜や乳製品のコクとのマリアージュが基本にありますが、キレのあるアルコール飲料は、料理との組み合わせが良く、シンプルな料理や、繊細な料理にもよく合います。次ページではオルヴァルに合う料理を紹介します。