「群発頭痛」とは……1000人に1人が悩む、激しい頭痛
群発頭痛は最も激しい頭痛で、目の周りの激痛、鼻水、目の充血、涙、まぶたの腫れなどの自律神経症状を伴います
男女比は5:1といわれてきましたが、女性の社会進出や喫煙率のアップから、性差は少なくなってきているのではないかともいわれています。
連日、激しい頭痛症状が続く極めて辛い群発頭痛ですが、未だに世間の認知度は低いようです。今回は群発頭痛の原因や症状、治療法、また普段から注意すべき生活習慣について解説します。
<目次>
群発頭痛の原因・特徴
群発頭痛は、一日のうちほぼ決まった時間に連日定期的に起こること、持続時間がほぼ一定であることなどより、脳の体内時計に関係していると考えられています。また、片頭痛の治療薬であるトリプタンが有効なことから、片頭痛同様、三叉神経血管系の賦活が原因であり、首の奥にある内頚動脈の炎症と血管の拡張がおこり、激しい頭痛が引き起こされているのではないかといわれています。群発頭痛は、まず脳の一番奥の視床下部(ししょうかぶ)から頭痛信号が発信され、次いで三叉神経核、上唾液核を介して頭痛が伝わっていくという説です。群発頭痛の症状目の奥がえぐられるような激しい痛みも
群発頭痛の症状は、頭痛とともに片目の周りと目の奥がえぐられるような激しい痛みを伴います。同時に、涙、鼻水、鼻づまり、瞳孔の左右差、目の充血、まぶたが腫れて垂れ下がるなどの自律神経症状を現わします。群発頭痛が起こっている時には、じっとしていられないことも特徴の一つです。発作中は部屋の中をうろうろ動き回り、時には激しく壁に頭をぶちつけたり、頭を殴ったり壁を蹴りあげたりしたいといった衝動にかられ、のたうちまわるなどの激しい行動を伴うことが多いようです。これは、片頭痛の特徴である、暗い部屋でじっと安静に横たわっているほうが落ち着くのと対照的です。
群発頭痛の持続時間は15分から180分で、一日1回~8回程度おこります。発症時間がAM1時~3時といった深夜に起こることも多く、一旦起こると1~2カ月の間起こり続けるので、睡眠不足も深刻な問題となります。
群発頭痛の診断法
群発頭痛はその発症頻度が低いため、正しい診断にたどり着くまで時間がかかることが多いようです。Klapperらの報告によると、群発頭痛と診断されるまでには発症から平均6.6年かかり、正しく診断されるまでかかったお医者さんの数は平均4.3名、群発頭痛以外に受けた診断名の数は3.9だそうです。群発頭痛がある場合、注意したい生活習慣
群発頭痛は自律神経の関与が強いため、頭痛が起こっている間(群発期)は規則正しい生活を送ることが大切です。また、アルコールで群発頭痛が誘発されることも知られているため、群発期の飲酒は控えましょう。また、タバコを吸う人に多いことも群発頭痛の特徴です。激しい頭痛から解放されるためにも、禁煙に取り組みましょう。群発頭痛を期に禁煙を開始される方も多いようです。
群発頭痛の治療法・薬
群発頭痛の場合、内服治療では効果が実感できません。スマトリプタンの自己注射が効果的です
また、発作は突発的で激烈におこるため、内服薬では効きが遅く効果を実感できません。そこで発作時には、自分で注射するスマトリプタンの皮下注射が有効な治療法として推奨されています。ペン型の専用注入器は、ペンを太ももに抑えつけるようにするだけで、針を見ることなくスマトリプタンが体内に注入される仕組みです。
群発頭痛はその激しさと特徴的な自律神経症状から、自己診断でも的中する確率が高い頭痛です。「もしかして、群発頭痛かも……」と思われたら、迷わず頭痛外来を受診しましょう。群発頭痛の場合、適切な治療を受けるのに迷っている余裕はありません。ぜひ、一刻も早く頭痛の苦しみから解放されるために、上手に病院を選びましょう。