オーダーキッチンのガイドライン
人気のオーダーキッチンの落とし穴!
Vol.1 水仕舞のできていないキッチンはキッチンではない。最近のインテリア雑誌で取り上げられる機会が増えているのが、デザインキッチン、オーダーキッチン、カスタムキッチン、オリジナルキッチンなどの名で呼ばれている従来のキッチンメーカーの商品でなく、特注で制作するキッチンです。
施主の希望に添ったキッチンや設計事務所の意図するデザインを、家具メーカー、ステンレスメーカー、リフォーム会社、工務店などが個々に制作しているもので、確かに既製品のシステムキッチンでは見られないオシャレなキッチンが多いことも人気の秘密でしょう。
また、材質の使い方や設計の仕方によって,既製品よりも安価にキッチンを作ることも可能です。
このようなオーダーキッチンの事例を見ていて、とても気になることが幾つもあります。
1: 水の仕舞ができていないキッチン
2: 火の仕舞ができていないキッチン
3: 材質の選択が適切でないキッチン
4: 組込む機器の選択が適切でないキッチン
5: 使う人の身長や家族の特性を把握できていないキッチン
6: その他、オーダーキッチンづくりに欠かせないこと
これらの問題点を、ひとつひとつ解説していきたいと思います。
まず1回目は、キッチンに欠かせない「水の仕舞」のことです。
一般的にオーダーキッチンとして制作している場合、一番おろそかにされているのが水の仕舞方法です。
昔ほど,キッチンで水を使わなくなったから良いじゃないかという設計者も多く見られますが、水の仕舞をきちんとしないとベースのキャビネットに水がまわり、5年10年経過すると木製キャビネットは腐ってきます。
リフォーム現場で多く見られるのが、腐ってボロボロになったキャビネットです。
水の仕舞は制作者にとっては手間のかかる仕事なので,ついついそこまでしなくても良いじゃないかという考えになり勝ちです。
設計者も面倒だし、施主にとってもコストアップになるのは避けたいという思惑が一致して,水仕舞のできていないキッチンが横行することになるのです。
下の図が水仕舞のできていないワークトップと、水仕舞に配慮したワークトップの詳細図です。
水仕舞の方法
このように水仕舞には,色々なディテールが考えられます。
ようはキッチンの水仕事をおこなっているときに、ワークトップの手前に水が流れ、体が濡れたり、キャビネット内に伝わってくることを避けるためのディテールです。
ワークトップの奥面も同様に10mm~50mm程度の立ち上がりを設けることによって、壁面から水が浸透することを避ける配慮が必要なのです。
シリコンコーキングやシールと呼ばれる材料は経年変化で必ず切れてきます。そこから水が浸透することを避けるためのキッチンに最低限必要なこと、それが「キッチンの水仕舞」です。
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