家計を節約するだけで、投資にも負けない

ボーナスを手にしたらそれを貯蓄や運用で「増やしたい」と思う発想は、とても大切です。と同時に、前ページでも触れたように、消費増税を控え、家計管理に対して今まで以上に意識を持つことが重要になります。

そして実は、そういった家計管理は結果的に「増やす」のと同じ効果を得ることができるのです。たとえば、毎月1万円を年利3.0%で運用(半年複利)したとします。この場合、30年後の元利合計は約526万5000円(税引後、複利毎課税20%、特別復興所得税は考慮しない)。

この金額、もしも毎月家計から4625円節約できたとすると、30年間で同じになります。つまり、節約することで運用と同じ効果が得られるということです。しかも、今の低金利時代、3%という高い金利は、リスクを取らなければ難しい数字です。さらに、それを30年間続けられたら、という話です。対して、家計を見直し、今より支出を4625円減らしてみる。こちらの方が、実現する可能性が高いはずと考えるべきでしょう。

ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんは、こうアドバイスします。
「家計改善は運用と同じ効果が得られるということ。もちろん、節約と運用の両方をしても構いません。しかし、優先順位は家計改善が先となります」

医療費を抑えることが家計の見直しのカギ

家計における節約の持つ効果はわかりました。では、どこをどう見直せばいいのでしょうか。基本的には無駄を削るわけですが、その支出項目は世帯によってさまざま。それでも、今後より意識してほしい支出があると、八ツ井さんは言います。それが医療費です。

「日本は、医療保険制度のおかげで何かあれば、すぐに病院に行けばいいという発想になりがち。実際、汗疹やニキビになったというだけで皮膚科を訪れる人が増えている、と聞きます。そういった手軽さ、安心感が、逆に健康管理への意識を阻害している面もあるのではないでしょうか。医者にかかれば治るからという理由で健康管理がおろそかになっているとすれば、本末転倒です。日ごろのケアで防げる病気はたくさんあります。特に今後の負担増社会を考慮すれば、私たち一人ひとりが健康の意識を高めることは、とても重要でしょう」

とくに気をつけたいのが、リタイア後の医療費。治療が長引きやすく、場合によっては高額療養費制度を活用しても、毎月2万円、3万円と自己負担が発生する可能性もあります。要介護というリスクも無視できません。したがって、年齢に関わらず、普段からの自分の健康、家族の健康に気を配る。それにより、結果的に家計負担を軽減していく。そういう家計の「防衛」も必要な時代です。健康は財産なのです。

次のページでは、もうひとつの家計管理の柱、収入アップについて考えます

教えてくれたのは……
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八ツ井慶子さん

ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。著書に『お金の不安に答える本』、『家計改善バイブル』、テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める

取材・文/清水京武  イラスト/モリナガ・ヨウ パネルデザイン/引間良基


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