お金が貯まらない「夫婦別財府」
このご夫婦はお金の使い方もそうですが、家計管理の仕方にも問題がありました。それは「夫婦別財府」。これは、「あなたは家賃と光熱費関係、自分の携帯電話代や生命保険料をお願い。私は食費と車の関係を払うから……」と分担し合い、家計は基本別々であることを言います。互いのお金の使い道はノーチェック。そのため、やりくりの仕方は個人にまかされるので、お金のやりくりの実態を知ると恐ろしくなることがあります。きちんと貯蓄していればいいのですが、毎月ほぼ使い切りで貯金がゼロ。もしくは借金があるという事さえ起こりうるのです。
また最大の欠点は「困っていない」ということ。それなりにできてしまうことが、一番の悪い原因なのです。
Tさんご夫婦の変化
自分たちのやりくりの悪さに気が付いたTさんご夫婦、他の家庭でできることが自分たちにできないことはないと躍起になりました。ほとんど外食であったランチを減らし、自炊を意識するようにしました。ジムは通っていますがトレーナーはつけない。洋服や車も今あるものを大切に使う精神に。旅行は予算を決めて計画的に出かけるように変化させたのです。そして家計のお財布も一つにしました。支出は以下の通りに変化しました。
Tさんの変化した家計
今までわからなかった部分の支出も、二人で注意していたため、おそらくいつもよりお金がかからず暮らせたのだと思います。20万円近く、妻の収入ほどの余りを出して暮らすことができました。
意外と効果があり、二人とも驚いていましたが、逆に自信が出て、お金のことをしっかりと二人で話をするようになり、子どものことだけではなく、家は持つべきなのかとか、老後には……といった話までするようになったようです。
今回の事例とは一見、異なるように思えるでしょうが、親元にいる独身者の方にも同様の弊害を感じることがあります。客観すると容易に気づくことであっても、当の本人としてその中に身を置くと、なかなかそのことに気付けないことも多いものです。今の環境にあぐらをかかないようにしたいものですね。