不規則な睡眠が睡眠不足を加速させる
この調査で、母親や教師から、「落ち着きがなく多動的」と評価された子ども達に共通していたのが、不規則な就寝時間でした。不規則といっても、前倒しになる、つまり、本来の就寝時間よりも早い時間に寝てしまうのであれば、もちろん何の問題もありません。が、通常、そんな奇跡は起こりませんね。5歳くらいの子ども達は、自分で「もう寝たい」などとは言いません。むしろ、
ママ: 「もう眠いでしょ」
子ども: 「眠くないよ!!!」
とムキになって言い張る方が普通です。つまり、この研究データの言う「不規則さ」は、すべて後ろへのずれ。本来、20時に就寝してもらいたいのに、21時、22時、さらには、23時と就寝時間が後ろにずれ込むことを指すのです。これにより起こるのが、睡眠不足。この研究でも、睡眠不足は、学校での成績悪化、情緒の不安定、食欲の低下などを招きやすいと警告しています。
早い時期からの習慣づけがカギ
きちんとした睡眠習慣はご機嫌な子を育てる
5~7歳の子が必要とする睡眠時間は、1日10~12時間とのこと。学校の始業時間を考えると、起床時間は、必然的に7時前後。そこから逆算すると、夜20~21時には就寝しないと「睡眠不足」に陥ることになります。
実は、日本は、世界でも驚くほどの「睡眠不足国」で、P&Gの研究によれば、日本では、4歳未満の子の半数近くが、夜22時以降に就寝しているとのこと。全般的な早寝改革が必要なのです!
P&Gパンパース赤ちゃん研究所が、日本全国の0歳から4歳までの子どもを持つ母親521名を対象に2004年に行った「赤ちゃんの睡眠に関する実態調査」より
とはいえ、いざ「20時就寝」と決めても、上手くいく日と行かない日があるでしょう。でも、「うまく行かないからといってあきらめずに、続けることが大切」とこの研究者達も言っています。なぜなら、睡眠不足が続けば続くほど、事態は悪化する傾向にあるからです。
前述のとおり、子どもは、自分でなかなか「疲れた」「もう寝たい」などとは言いません。その代わりに、子どもは、「もう眠たい」を行動面であらわします。いつもとは違うイヤイヤ、グズグズは、「眠たい」のサイン。ただ、その段階で、すでに睡眠は不足しつつあるのです。しかも刻々と……。
これを踏まえると、規則正しい睡眠習慣は、「眠そうだから寝かせる」のではなく、「時間になったら横になる」のを子ども自身に覚えてもらうのがカギ。7歳までの慢性的な睡眠不足をなくすことを目標に、「時間になったら横になる」という習慣を子ども達に教えていってあげましょう。