子育て/子育てに役立つ最新心理学

情緒の安定した子を育てる睡眠のコツ(2ページ目)

イギリスの研究で、就寝時間の乱れが、その子の行動面に悪影響を与えることが分かりました。その研究が見出した睡眠と行動のリンクとは?詳しいデータとともに、子どもにいい睡眠の取り方をご紹介していきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

不規則な睡眠が睡眠不足を加速させる

この調査で、母親や教師から、「落ち着きがなく多動的」と評価された子ども達に共通していたのが、不規則な就寝時間でした。不規則といっても、前倒しになる、つまり、本来の就寝時間よりも早い時間に寝てしまうのであれば、もちろん何の問題もありません。が、通常、そんな奇跡は起こりませんね。

5歳くらいの子ども達は、自分で「もう寝たい」などとは言いません。むしろ、

ママ: 「もう眠いでしょ」

子ども: 「眠くないよ!!!」

とムキになって言い張る方が普通です。つまり、この研究データの言う「不規則さ」は、すべて後ろへのずれ。本来、20時に就寝してもらいたいのに、21時、22時、さらには、23時と就寝時間が後ろにずれ込むことを指すのです。これにより起こるのが、睡眠不足。この研究でも、睡眠不足は、学校での成績悪化、情緒の不安定、食欲の低下などを招きやすいと警告しています。


早い時期からの習慣づけがカギ

きちんとした睡眠習慣はご機嫌な子を育てる

きちんとした睡眠習慣はご機嫌な子を育てる

不規則な就寝時間での生活が長ければ長い子ほど、素行面の乱れが顕著だったことから、規則正しい就寝時間は、できるかぎり小さいうちから習慣づけるべきと示唆しています。

5~7歳の子が必要とする睡眠時間は、1日10~12時間とのこと。学校の始業時間を考えると、起床時間は、必然的に7時前後。そこから逆算すると、夜20~21時には就寝しないと「睡眠不足」に陥ることになります。

実は、日本は、世界でも驚くほどの「睡眠不足国」で、P&Gの研究によれば、日本では、4歳未満の子の半数近くが、夜22時以降に就寝しているとのこと。全般的な早寝改革が必要なのです!

P&Gパンパース赤ちゃん研究所が、日本全国の0歳から4歳までの子どもを持つ母親521名を対象に2004年に行った「赤ちゃんの睡眠に関する実態調査」より

P&Gパンパース赤ちゃん研究所が、日本全国の0歳から4歳までの子どもを持つ母親521名を対象に2004年に行った「赤ちゃんの睡眠に関する実態調査」より



とはいえ、いざ「20時就寝」と決めても、上手くいく日と行かない日があるでしょう。でも、「うまく行かないからといってあきらめずに、続けることが大切」とこの研究者達も言っています。なぜなら、睡眠不足が続けば続くほど、事態は悪化する傾向にあるからです。

前述のとおり、子どもは、自分でなかなか「疲れた」「もう寝たい」などとは言いません。その代わりに、子どもは、「もう眠たい」を行動面であらわします。いつもとは違うイヤイヤ、グズグズは、「眠たい」のサイン。ただ、その段階で、すでに睡眠は不足しつつあるのです。しかも刻々と……。

これを踏まえると、規則正しい睡眠習慣は、「眠そうだから寝かせる」のではなく、「時間になったら横になる」のを子ども自身に覚えてもらうのがカギ。7歳までの慢性的な睡眠不足をなくすことを目標に、「時間になったら横になる」という習慣を子ども達に教えていってあげましょう。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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