金融庁から警告を受けたFXファンドとは
怪しいFXファンドとは
この会社は匿名組合方式のFXファンドを募集し、集めた資金の運用を行っていました。しかし金融庁が調査を行ったところ、集まった資金はきちっと運用に回されておらず、会社の経費に流用されていたこと、無登録業者を使って勧誘していたことなどが判明したのです。
同社が提供していたFXファンドがいかなるものなのか、簡単に説明しておきましょう。
1) 月利2.5%、年利30%を表示
2) 運用は優秀なディーラーに委託
3) 元本の80%まで目減りした時点で、契約者自身が運用継続か中止かのいずれかを選択できる
4) ストラテジーはスキャルピングなので、大きく損をすることはない
確かに元本保証とまでは謳っていませんが、月利2%で運用できるという時点で、怪しいと気づかなければなりません。月利2%というと、大したことはないと思うかも知れませんが、年利に換算すると30%です。それをコンスタントに稼げる為替ディーラーは、まずいないでしょう。
たとえば、ハーバード大学やエール大学は、学校の基金を運用しており、いずれも非常に優秀なリターンを維持していることで知られていますが、それでも年10%前後です。年30%というリターンが、いかに実現可能性の低い話かということが、お分かりいただけると思います。
運用は優秀なディーラーに委託するということですが、それも怪しい話。実際、誰が運用しているのかも開示しない状態で、優秀も何もあったものではありません。
そして、さらにこの商品の問題は、金融マルチであることです。つまり、加入者が、新しい加入者を紹介すると、金額に応じて販売奨励金が紹介者に入るというマルチ商法的な仕組みを用いて、加入者を広げていたのです。その報酬率は、実に導入資金の4.5%ともいわれています。
販売奨励金は、運用する側からすればコストです。つまりリターンを下げる要因のひとつです。それが分かっているのに、販売奨励金を4.5%も出すという豪気さ。ここからも、いかにこのFXファンドが偽物くさいものであるかが分かります。
これは投資信託にも当てはまることですが、マーケットのリターンを大幅に上回る実績を維持できるファンドなど、ほとんどありません。それをごまかすため、二階建て、三階建て、毎月分配、通貨選択、リスク限定といった仕組みを前面に打ち出して、目くらましをしようとするのです。
FXファンドもそれと同じ。いくら儲かりそうな仕組みが並べ立てられていたとしても、年30%という実現可能性の低い数字を前面に打ち出しているような商品を、信じてはいけないのです。