FX・外国為替証拠金取引/凄腕FXトレーダーをガイド内田まさみが直撃インタビュー

FXでも通用する、負けない「さや取りトレード」

大阪在住のY氏は、友人が経営する会社を手伝いながら、FX取引で安定した利益を積み上げている40代前半の男性だ。FX取引を始めた当初、1000万円を超える損を出したこともある彼が、コンスタントに利益を出せるようになったのは、特定の通貨ペアの「価格差」を利用した取引、いわゆる「さや取り」と呼ばれるテクニックを取り入れてからだという。Y氏が実践する「FXさや取りトレード」を、詳しく訊いた。

内田 まさみ

執筆者:内田 まさみ

FXガイド

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「さや取りトレード」って?

Y氏がFXでコンスタントに利益を出せるようになった「さや取りトレード」とは?

Y氏がFXでコンスタントに利益を出せるようになった「さや取りトレード」とは?

「さや取り」は、株式や商品先物取引でよく使われている手法だ。

値動きが相関関係にある金融商品は、短期的には値動きがかい離したとしても、材料を折り込んだ後、不思議とまた同じような値動きに戻るという特性を持つ。

例えば、普段は似たような値動きをしているふたつの銘柄が、決算発表をきっかけに違う動きをしたとしよう。その時、上がりすぎた銘柄を「売り」、下がりすぎた銘柄の「買い」ポジションを同時に持てば、その後の正常に戻ろうとする動きから、利益を得ることができる。この戻る時の値幅を狙って取引するのが、「さや取り」と呼ばれている。

実は、「FXでも、特定の通貨ペアに関しては、さや取りが有効だ」とY氏はいう。

大阪在住のY氏は、友人が経営する会社を手伝いながら、FX取引で安定した利益を積み上げている40代前半の男性だ。FX取引を始めた当初、1000万円を超える損を出したこともある彼が、コンスタントに利益を出せるようになったのは、特定の通貨ペアの「価格差」を利用した取引、いわゆる「さや取り」と呼ばれるテクニックを取り入れてからだという。

さや取りトレードは、FX取引でも有効なの?

豪ドル円と、ニュージランドドル円は、同じオセアニアの国で、経済的にもつながりがあるせいか、値動きにも強い相関関係があることをご存じの方も多いだろう。

しかし、相関関係にあるとはいっても、実際のレートには当然『差』がある。

足元の豪ドル円が85円台半ばなのに対し、ニュージーランドドル円は81円台半ば。その価格差は、ここ1年を通して計算してみると、平均約5円程度だ。

Y氏は、「これまで似たような値動きをしてきたからといって、この先もずっと同じだとは言えないが」と前置きしたうえで、「価格差が国力だとすれば、一定の幅を持ち続けても不思議ではないし、まして、逆転することは、簡単には起きないはずだ。それが、2016年8月下旬から9月中旬すぎまで、2円差くらいまで縮まった時期があった。ここ1年の平均価格差が5円に対して、2円差。これは、数年さかのぼってもみても超低水準の数値でもあり、いずれ価格差が広がる可能性がある」と考え、ニュージランドドル円のショートポジションと、豪ドル円のロングポジションを持ったという。

さや取りトレードで大事なのは、トータルで勝つこと

ポジションを持った後、12月下旬にかけて、豪ドル円は76円台半ばから86円台後半まで上昇し、ニュージーランドドル円は74円台半ばから83円台前半まで上がった。ふたつの通貨ペアが同時に上昇したために、ニュージランドドル円のポジションはもちろんマイナスだ。

しかし、「大事なのは、この間の2つの通貨ペアの『上昇幅』だ」とY氏はいう。

その上昇幅を比べてみると、豪ドル円の上昇幅が約10円50銭なのに対し、ニュージーランドドル円の上昇は8円70銭ほど。その結果、豪ドル円の上昇が、ニュージランドドル円のマイナス分を補っても余りあるほどの利益を稼いだことになる。

この手法では、「2016年末のような大相場が起こったとしても、大きく儲けることはできない」が、「リーマンショック時のように、すべての通貨ペアがリスク回避に傾き、一斉に大暴落したとしても、売りと買いを両建てしているから、トータルで考えれば、大きな損を被るリスクが少ない。FX取引は、できるだけ『負けない方法』で行うことが大事だ」と続けた。

両建てでポジションを持てば、片方のポジションはマイナスになることはよくあることだ。しかし、突発的な相場の時、大きな損を被る可能性は低く、「リスクを避けたトレード」を目指すことができるのだ。

勝手な相場観を持たずにトレードする

さらに、両建てでポジションを持てば、「勝手な相場観を持たなくて済む」というメリットもある。

勝手な相場観が、トレードの邪魔になることを体感しているトレーダーは多いだろう。Y氏も「相場観を持たずに機械的に取引するのが、負けない方法だ。一方向だけのポジションは、リスクを背負うことになるので、ポジションはあくまで『両建て』を前提にしている」という。

その他にも、必ず両ポジションとも必ず「同じ数量」100万通貨ずつ持つこと、エントリーするタイミングと決済するタイミングは「同時」と決めているそうだ。ポジションを少しでも傾けてしまうと、やっぱりそこには「勝手な相場観が生まれ、失敗する可能性が高まる」からだという。

もちろん、価格差が広がった時に、逆のポジション(豪ドル円のショートポジションと、ニュージランドドル円のロングポジション)を持つこともない。

なぜなら、「価格差は国力などを表しているから、差はあって当然だ。そう考えれば、逆のポジションを持つのはリスク。価格差が縮まった時だけエントリーし、縮まっている間はポジションをさらに積み重ねていく」という。

「さや取りトレード」でコツコツ利益を積み上げる

Y氏は、なぜこの「さや取りトレード」が有効だと気づいたのだろうか。

「最初は、普通の取引、裁量でトレードしていた。8、9年前にFX取引を始めたが、失敗ばかりで1000万円くらい損してしまった。その後、数年間、取引自体をやめていたが、サラリーマンの自由に使えるお金には限界がある。お小遣い程度稼げればと思って再開した時に、ふと気がついた。本当に偶然に。それで、豪ドル円とニュージーランドドル円の値動きを過去にさかのぼって検証して、これは有効なのではないかと。利益は少額でもコツコツ積み上げていけばいずれ大金になる。負けない取引をすることが一番大事だと気づいた」そうだ。

今回紹介した通貨だけではなく、「ニュージーランドドル円とシンガポールドル円、カナダドル円と豪ドル円の組み合わせも相性がいい」というから、ご自身で検証して、有効な組み合わせを見つけてみてはどうだろうか。

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