子育て/子育てに役立つ最新心理学

おもちゃの貸し借り、子どもにどう教える?

子ども同士、仲良く遊んでいると思ったら、いつしかおもちゃの取り合いに、という経験はありませんか? そのときママはどう関わっていったらよいのでしょうか? アメリカの大学の研究で分かった、子どもがすんなりとおもちゃを貸してあげたくなる心理テクをご紹介します。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

アメリカの大学が見出した「貸し借り」をスムーズにする秘訣

上手に貸し借りができる子になってほしい

上手に貸し借りができる子になってほしい

公園や自宅で、「○○ちゃんにおもちゃを貸してあげなさい!」と言っても、意固地になって、貸してあげない……。「どうしてうちの子は、うまく貸し借りができないんだろう?」と悩んでいるママは多いもの。ママとしては、お友達と仲良く遊んでもらいたいですよね。

こんな悩みを解決する「ある秘訣」を、アメリカの大学の研究チーム(*)が発見しました。

それは、

「大事なおもちゃを貸すか、貸さないかを子ども自身に決めさせる」

というもの。まずは、その実験の様子をご紹介しましょう。

この実験は、アメリカのコーネル大学が、3~5歳の子ども達を対象に行いました。

■実験の流れ
  1. 子ども達に、寂しそうにしているお人形「ドギー君」を紹介し、お友達になってもらう(実験では、このドギー君とのやりとりを計測)。
  2. 子ども達それぞれに、とても魅力的なシールを手渡す
  3. 子ども達を次の3つのグループに分ける

■3グループの内訳
  • シールを、ドギー君にあげるか、または、自分でキープするか、子ども自身が決めるグループ1
  • シールを、ドギー君にあげるか、または、手放すか、子ども自身が決めるグループ2
  • シールを、ドギー君にあげるように、大人から指示されるグループ3
その後、子ども達に、新たなお友達「エリーちゃん」を紹介しました。そして、手持ちのシールを何枚、エリーちゃんにあげられるかを観察しました。すると、一番多くのシールをエリーちゃんにあげられたのは、先の実験のグループ1の子ども達(シールをあげるか、自分のものにするか、自ら決断したグループ)だったのです。対照的に、グループ2とグループ3の子ども達は、エリーちゃんにすんなりとシールをあげることはできませんでした。

さて、ここで目が行くのは、グループ2の子ども達。このグループの子ども達も、グループ1の子ども達同様、自ら「決断」をしたのに、なぜ、グループ1で見られたような「貸し借り効果」が現れなかったのでしょう?

それは、決断の重さの違いでした。

グループ1の子ども達の決断は、シールをあげるか、自分のものにするか、でした。「魅力的なシールを自分のものにできる」という一番やりたいことがチョイスに含まれていました。それゆえ、このグループの子ども達は、あげるか、キープするか、という「重い決断」に迫られるわけです。

一方、グループ2の子ども達の選択肢は、ドギーにあげるか、それとも、手放すか。つまり、自分の手元には残りません。それゆえ、1の子ども達ほど、迷わずに済んだのです。


カエルと紙切れを使った実験でも同様な結果が!

別の実験でも同じようなことが分かっていて、
  • 大事なカエルのおもちゃを渡す決断を経験したグループ1
  • ちぎられた紙切れ(子どもにとって魅力的でないもの)を渡す決断を経験したグループ2
この2グループを比較すると、グループ1の子ども達の方が、その後の貸し借りが上手になりました。

*出典:Psychological Science (2013) 「Giving Preschoolers Choice Increases Sharing Behavior」より

>>次ページは、この実験のポイントをまとめた「貸し借りをスムーズにするコツ」についてです。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます